お待ちしておりました。

9月に入ったけれど、34度とか33度とか、気温の高い日が続いている。坂道を登って行く先に、猫たちはいるんだろうか。毎日、思うことだ。この日は、二匹揃って出迎えてくれた。

気温は高いが、道はもう落ち葉に敷き詰められている。自然というものは、しっかりと季節を踏襲しているらしい。この坂道は、いつもとは反対側から登っていく道。その少し手前にある藤棚のあたりに、ヒジキとアズキがいる。そこに近づいていくと、ヒジキとアズキを優しく撫でている青年がいた。ヒジキがこんなふうに体を撫でさせるのはめずらしいことだ。

数年前、心ない人に池に投げ込まれて、それ以来、餌をもらう人以外の人には心を許さなくなっていたのだ。青年に声をかけてみると、やっぱり初めはなかなか近づけなかったとのこと。ずっとずっと通い続けてやっとこんなふうに心を開いてくれたんだと、うれしそうに話していた。

なんだかほっこりとした気持で坂道を登り、丘の上まで行くと、モカという犬と一緒にやってくる丘ダチの一人に出会い、手作りのお味噌を頂いた。昨日は私一人だったので、なかなかに忙しく、とりあえず石の上に置いておいたら、まる子が興味深々の様子。味噌の匂いは家庭の匂い。きっとあまり嗅いだことのない匂いなんだろうな。

そんなまる子を眺めていると、いつも通る男の人が、「餌なんかやって、ふえたら迷惑だろう、どうする気だ」と、突っかかってきた。なので、ちゃんと手術をして、ふえないようにしていることを説明したが、不満そうな顔で帰って行った。

家のない猫たちにだって、生きていく権利はあるのになあ。元はといえば、人間が捨てたことから始まっているんだし。世間の風潮は厳しいが、まる子に会いたいから坂道を登ってくるという人もいるのだからと、気をとりなおした。

手作りの味噌を頂いたり、文句を言われたり、猫をかわいがる青年に出会ったり、いろんなことがあった日だ。午前中は病院で問診。今度の医師は、手術の方法については、ほかの先生たちとも検討するということだった。

夕暮れの空を、上昇していくジェット機。自分も、どこかへ飛んで行きたい気分になる。

坂の下におりるころには、すてきな月。まんなかのへこんだところに座れそうだ。きょうは早く寝ようっと。

 

 

 

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