石を彫る人

藤枝市は、駅の近くにはマンションが林立しているのに、少し奥に入ると、のんびりした山里が広がっていて変化に富んでいる。中里という集落も、ゆったりとした山あいに畑や田んぼが広がり、家と家との距離も適度にあって、いいなあ、こんなところに住みたいなあと思うようなところだ。

澄んだ水が流れる川沿いの、あまり車が走っていない道をしばらく走り、急坂の細い道を上って行くと、「和」という、とろろ料理をだす店がある。その庭のあちこちに小さな石の彫刻が展示されていた。

松の木の根元に佇んでいたお地蔵さん。手を伸ばし、だっこしたくなるほどかわいかった。あったかいものにくるまれている感じがいいんだなあ。それに、猫的でもあって。

twinsのお地蔵さんも。ふくろうもあった。彫った人は、石彫刻家の土屋誠一氏。いろんな場所で作品を展示しているようで、今回はこの、古民家風の店。

「和」は、趣のある店構え。屋根には煙突が出ていて、中は薪ストーブの暖房をしている。山を背にした見晴らしのいい場所にある。

そこかしこに、なにげなく置かれているお地蔵さんたちは、どれもにこやかで、ほんわかとした顔ばかり。

土屋氏は庭の端で、石を彫るところをみせてくださった。工房は金谷にあって、展示会の期間中はここまで通ってきているという。

実際に道具を持たせてもらった。とても重くて長くは持っていられない。でも慣れると力はいらないという。芯にあてることが大切だという。石によって色も固さも違い、経年変化によって味わいも深まるのが石のいいところだそうだ。

お地蔵さんの顔、彫った人に似てますよね、と話したら、よく言われるんですよ、と笑った。石彫刻家という肩書にもかかわらず、とても気さくな方だ。

店の庭には春の日差しがあふれ、クリスマスローズがたくさん咲いていた。

庭の隅にはこんな小さな花々も自生。お日様のほうに顔を向けるブルーが愛らしい。

今日は風もなく、雲一つないほどの青空だった。暖かな、こんな天気なら、夕方からの公園もまた楽しい。古墳の丘にも、大きくて平らな石が点在している。どっしりとした石は、チビまる子のちょっとした隠れ場所や安らぎの場所になり、訪れる人にとっても休息の場所となっている。

まる子も気分がいいらしく、めずらしく膝の上に乗ってきてうたたね。膝枕だ。あったかくて柔らかいまる子の体をじかに感じて、私もさらにいい気分。

チビもいい気分。今日は、みんないい気分だなあ。

富士山も上機嫌。雪も少し融けたみたいだ。

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