猫のお通り


姫、このごろ、また姫様ぶりを回復。いっときの「傷だらけの猫」状況を脱した模様。

あいかわらず、姫様の風情で、こんな花の冠など似合いそう。

姫がいつもいるあたりには花が多い。上をみれば、藤の花は実をつけ、いんげんみたいなものがさがっている。ツツジは順番に咲いて、そろそろアジサイへとうつるころ。


今度三毛子がお世話になる予定のお宅に、先日、三毛子が入っていたゲージを届けに行った。慣れているものがそばにあれば、少しは安心できるだろう。

そのお宅にも白猫がいて、こちらはオス。やっぱりオッドアイの持ち主。リンという名前で、名前のとおり、凛としている。

ほかにも二匹いて、グレイのこの猫は、かなり剽軽で愛嬌のある顔をしているが、つおそう。

もう一匹はメスの猫で、子連れで怪我をしているのを保護したのだそうだ。子猫は親戚に引き取られたのだという。とても怖がりだそうで、ケージに入ったままだった。

いよいよ、土曜日には三毛子がいくことになっている。どうかよろしくね。相性が悪いときには戻ってくることになっているけれど、お転婆娘を温かい目でみてやってね、お兄様たち。

【三毛子は、この洋梨やリンゴの置物(発砲スチロール製)がお気に入り。サッカーボールのように転がしてよく遊んでいる。】

相手先のニャンコたちはとても大きいので、三毛子、圧倒されるかも。それとも、野良猫仲間たちと一緒にくらしていたから、慣れてくれるかな。対面の方法が問題だ。何も知らずに無邪気に遊ぶ三毛子をみていると、つらくなる。

だけど、一人遊びばかりではつまらなそう。猫を飼うなら二匹以上のほうがいいらしい。お転婆だから出戻りになるかもしれないが、そのときはまたゆっくりとご縁のある所を探しましょう。三毛子の安住の地を。

ツツジのそばでナナは、餌をもらったあと、のんびりとうたたね三昧。はぐれ猫の存在できまった人から餌をもらえず、餌にありつけなかった日々が続いていた。今は餌をくれる人が毎日きてくれる。こんなしあわせがみつかるなんて、きっと想像もできなかったろう。おれの人生も捨てたもんじゃないよと思っているのかも。

しあわせもふしあわせも出会いからはじまるから、出会いをたいせつにしなくては。と思っていたら、よく丘の上で出会い、話をかわしたご夫婦が近々引っ越されるという突然のお話。

ひょんなことからチビまる子の元に通うようになって、4年近く。いろんな人と話をし、そしていつしか顔をみなくなる。こんなふうに前もってお別れが言える人はなく、気づくと会わなくなっていることがほとんど。すれ違い程度のおつきあいだから、それもまあしかたがない。

【ホタルブクロという名前の花。うん、なるほど。】

出会いと別れを繰り返してきた日々だったが、今度の別れはちょっと厳しい。猫好きな方だから、猫のことでいろいろ相談もし、心配もして頂いていたからなおさらだ。取り残されるような寂しさを感じながら、坂道で思いだすであろうその笑顔を思う。

でもそばには、まあるいまる子と、このごろずいぶんと大人びてたくましくなったチビの存在。ここにくると必ずいてくれる安心感がある。そういえば、いつも通りがかりに冗談を言っては笑わせてくれた、でこぼこコンビのご夫婦もこのごろはみかけなくなり、丘の上で犬を放す男に注意をしてくれた、風格のあるおじさにも会わなくなって久しい。

おうい! みなさあん、どうしていますかあと、空にむかって声をだしてみる。そばで、チビは、丘の上の王者の風格をかもしだしていて、ああ、あんなにビビリだったのに、おい、おまえ、たのもしくなったなあとひとりごと。


去り行く人たちに、せめて美しい花を! 

 

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