花がみな、とても偉く見ゆる日よ

石川啄木の有名な歌をもじって。

もともと花はすごいなあと思っているけれど、あらためて感じるときは、たいてい、ちょっとへこんでいるときだ。


あまり土がよくない庭でも、手入れをすれば花は咲く。
花は、誰にほめられるわけでもないのに、きれいに咲いて、そして人知れず散っていく。

だから、水や肥料をやりながら、せめて声をかけてやる。

「おう、やっと花をつけたんだね、えらいぞ」
「まあ、いつのまにこんなところに芽を出して、花咲さかしたんだねえ」、などと。


庭のよもぎがだいぶ伸びたので、葉っぱを摘んでベランダに干してみた。
よもぎ餅、よもぎ茶、入浴剤、使い方はさまざま。

干しているとミーナが匂いを嗅いだり眺めたり。
やがて、飽きて寝てしまった。


そういえば、遠い日、まわりの友人たちが大学や就職先へと旅立つ季節、私は農業試験場のハウスで、イチゴや花々を育てていたっけ。

なんだかんだと、うるさく言ってくる職員の一人の鼻を見ては、心の中で、「ああ、イチゴみたいな鼻」と思ってました。

農機具博覧会などのイベントがある日には、トラックに花を積んで行き、会場に並べては花を売りました。
けっこう売れて、そんな日には帰り道、自分へのご褒美に、好きなお菓子を買ってハウスのなかで独り占め。


苺の鼻の職員がハウスの中に入ってくる時には、さっそく、どこかに隠れました。
広いハウスは暖房の熱で中がくもり、隠れるにはもってこいだったのです。

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