想定外のこと~ハクビシンとの遭遇~

戦わなければ奪われる。戦っても、奪われる。それでも戦わずにはいられないときもある。

先日、チビまる子のもとに通っている方から,朝早くにメールがきたとき、チビまる子になにかあったんだろうなあと予感した。内容をみると、やっぱりそうだった。降りしきる雨の中、チビもまる子もハウスの中にいないという。少しくらいの雨ならよくあることだ。けれども、その日の雨はひどかった。

それでもまる子は、古墳群の奥にある東屋にいたそうで、少しして見当たらなかったチビも、そばの草むらから出てきたようだが、ひどいずぶ濡れだという。なんと、雨や寒さをしのぐために作ったチビまる子用のハウスをハクビシンにのっとられてしまったのだという。写真も添付されていた。ハクビシンは追い払ったというが、写真をみると、以前から入っていたような気もする。

道理で、このごろは、雨のときもハウスのそばにいないことが多い。暖かくなったからだろうと単純に考えていた。だが、これほどびしょ濡れのチビはあまりみたことがない。よほどハクビシンが怖かったのか。チビの首にときどき引っ掻き傷があったのは、ハクビシンとの戦いで負ったものだったのかもしれないと、ようやく気づいた。

東屋は、ずいぶんとハウスから離れたところだ。送られてきた写真を見てぎょっとした。ハクビシンという名前は知っていたが、みるのは初めてだ。どうみても愛嬌のある顔ではない。

雨はますます強くなる一方。さて、どうしたものか。猫は、ほかの動物の匂いがついたものには入ろうとしない。夜にはさらに雨は激しくなるらしいし。でも、いいあんばいに、ちょうど、チビまる子が一緒に入れるほどの大きさのコンテナを買い置きしてあったから、とりあえずそれを運んで雨よけにしてやろうと決めて準備にかかった。

急いで、コンテナに猫が入れるように細工をして、それを丘の上まで運ぶカートを買い、家を出た。幸いにも、連絡をくれた人たちが一緒に行って手伝ってくれるという。以前の孤独な活動にくらべたら、なんと心強いことだろうか。

激しい雨の中、みんなで一緒に丘までのぼり、コンテナに猫を誘導しようとしたが、しかし、思い通りに動いてくれないのが猫。猫は慣れたところを好み、新しいものには臆病だ。まる子は、冷たい雨風が吹き込む東屋のテーブルの上から動こうとしないし、チビは雨ざらしの草むらにまた戻ったまま、出てこようとしない。

ならば、せめてチビも東屋でまる子と一緒に雨だけでもよけられればと、辛抱強く待ったが出てこようとしない。諦めてしかたなく家に帰ったが、夜になると雨はさらに激しくなり、よく眠れなかった。翌朝、さっそくに行ってくれた人(前日に手伝ってくれた人)からの連絡で、チビまる子が元気回復だという連絡をもらい、ほっとした。さすが、チビまる子だ。長年、丘の上で暮らしてきただけのことはある。えらいぞ!

夕方行ってみると、チビまる子は石の上で待っていて、近づくと走り寄ってきた。餌を食べさせたあと、様子をみにハウスを置いたところまで行くと、二匹とも新しいほうのコンテナには近づくものの、入ろうとはしない。どうやら慣れるまで待つしかないようだが、心配なのは、新しいほうのハウスまでハクビシンに奪われはしないかということだ。

それで、これまでとは離れた場所にしようかとみんなで考えたが、結局これまでの場所から少しだけ離れたところにするしかないという結論に。四六時中見張ってやることはできないのだから、あとはもう、チビとまる子に任せるしかない。誰かが飼ってやれればいいのだが、それぞれに事情を抱えていて、ほかに方法がない。

それでも人間の気配がすれば、ハクビシンも用心するだろうと思い、薄暗くなるまでそばにいてやっていたら、チビが突然走り出し、なにかを追いかけて行った。ハクビシンがまたやってきたのかもしれない。その様子に、まる子が眼を見張っている。なのに、助太刀しようとしない。オスのチビに任せたわ、とでも言いたげだ。

まる子、それはないだろうと思ったが、こうなったらもうチビにがんばってもらって、自分の縄張りを守ってもらうしかない。人の手助けなんてこんなときは微々たるもので、チビがみずから戦わなければ奪われてしまうばかり。ギリギリ、なんとか対抗できそうな大きさかもしれないと思いながら帰ってきた。

そう思って、こちらは、しばらく見守っていくしかないのだが、やはり、心苦しい。今日もまた雨だ。一方、三毛子はあいかわらずあちこちの扉をあけまくり、好奇心旺盛。ちょっと息抜きができるひとときだ。

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