おばさんとおばあさん

わりと若い時に子供を生んだから、おばさんと呼ばれるのも早かった。
20代の初めで、すでに、○○くんのおばさんになったのです。

多くの友達が大学生活を楽しんでいるなか、自分はもうおばさんかあ、とため息。
その反動か、どこかへ出かけるときは、念入りに化粧をし、服装にも気を遣って出かけていた。

あるとき、最寄りの駅で切符を買おうとして券売機の前で並んでいたとき、すぐ横にいた息子が、そこらじゅうに響くような声をあげた。

「おっかあ、ションベンしたいよ~。早く~」
半ズボンの前を抑えて、訴えた。

息子の叫び声に、あたりにいた人々が一斉に私たちを見て笑った。
あわてて、券売機の前を離れてトイレへと駆け込んだ。

そうしてほっとした顔の息子をみると、「へへへ」と笑っている。
それは、いかにも、ざまあみろ、という顔。

【東京駅】

彼はふだんは、おっかあ、と呼ばず、おかあさんと呼んでいるし、ションベンなどとは言わず、オシッコと普通に言っていた。
私はそのしたり顔をみて、 これは息子の逆襲なのだと気がついた。

出かける時に必要以上にめかしこんでいる母親のそばで、自分はほったらかしされていたのだから。
彼は彼なりのやりかたで、そんなときの自分の気持を母親に気づいてほしいと思っていたのだろう。

そして今は、そのころの息子の年に近い近所の子供たちに、おばさんと言われたり、おばあさんと言われたり・・・。
小学生のお兄ちゃんと保育園児の弟くんが、ときどき、ミーナが窓辺にいるのを見て、立ち寄ってくれる。


小学生のお兄ちゃんが、そばにいる私のことを、ミーナのおばあちゃんと呼ぶと、保育園児の弟くんが、小さな声でお兄ちゃんに注意をした。

「あのね、お兄ちゃん、こういうときは、おばあちゃんと言ったらだめだよ、おばちゃんて呼ぶんだよ」
ああ、なんて賢くて優しいい弟くんだろう。

かつて、人一倍早くおばさんと呼ばれた私だったが、おばさんがようやく板についてきた頃、今度はヘアカラーのアレルギーで髪を染められず、髪はついに40代でおばあさんモードに。

【桜の花びらの上で。ニャンコ親子とネズミの親子が遊ぶ】 人形はニァーゴさん

なのに、弟くんはわずか4,5歳で、女心をつかんでしまう。
天才的だ!
そして、末怖ろしい。

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