今日という日を愛せるかい。

うん、愛せるよ。私、シロは。
だって、さっきはごはんをお代わりまでできて、そして、しばらくそばにいてくれる人もいるし・・・。
それにさ、今日はわりと蚊も少ないし、あんまり耳も気にならないんだ。
雨もあがって、ひさしぶりに気分もいいのよ。

今日は、シロがひさしぶりにそばでリラックスしてくれて、そんなふうに言ってくれているような気がした。
先週の保護失敗から一週間。ようやく穏やかな時間が、私とシロのあいだに流れた。

通りかかった人が、この子、ずいぶんと毛並みが悪くなったわねえと言う。
それでかな、シロはひさしぶりに毛繕いにいそしむ。
艶やかな純白の毛並みは失われてしまったけれど、それでも、今日は丁寧に舐めている。

シロ。相変わらずおまえはきれいだよ。
傷んだ耳も、艶がなくなった体も、痩せてきたお尻も、みんな今日のシロで、今日のシロはとてもかわいいよ。

すぐそばに咲いている紫陽花もとてもきれいに咲いてるし。
まるでおまえを愛でるように。

そんなことを思いながら、シロが餌を食べたあと、しばらくそばにいて、シロを眺めていた。
今日はたしかに気分がよさそうで、私が一人きりだったから安心した様子。それでも警戒心は怠らず、距離をとりながら毛繕いをしたり、転がったり・・・。

本当なら、今日は二度目の捕獲にかかる予定だったが、もう少し待つことにした。
たしかに病状は猶予がならないが、あまり追い詰めてもと思い、ようやく出てきてくれるようになったのだから、シロとの距離が戻るのを待つことにした。

シロのほうも、こちらの緊張を感じなかったせいか、いつもは餌を食べるとすぐに離れ、どこかへ行ってしまうのに、今日はしばらくそばにいて、空を見上げたり体を伸ばしたり、いつもは見せない姿をたくさん見せてくれた。
まるで、今日は私、幸せなんだよと言っているみたいだった。

こんな姿を見ると、また捕獲に迷いが出る。このままでもいいのではないかと。
けれど、どんどん進むと顔まで溶けていき、痛みもしだいに強くなる。弱った体をそばで見ているカラスたちがつつくだろうと思うと、やはりじっとしてはいられなくなる。

今日という日を愛しているのはこの猫たちも。

【大きなあくびのアズキ】
【体に沿ってくれるこのベッドが気に入ってるんだよね。】

そして、もう一つのご報告。
ミーナと一緒に近くの軒先で暮らしていたグレ男グレ子の保護がうまくいき、今は保護ボランティアさんのペット用ハウスで暮らし始めた。
主の世話が得られない猫たちのことが近所で問題になり、保護した。

【保護ワンハウススマイルにて】

まだ一週間。なので怯えているようすだが、餌はちゃんと食べているそうだ。よかったね。元気で頑張れよ。
と思いつつも、心の隅では、庭にきていた二匹の姿がみえなくなったのをさびしく思っている。
くるんと丸まったしっぽまでそっくりだったグレ男とグレ子。
親子なのかきょうだいなのか、いまだにわからない。
ミーナといつも一緒に団子になって、冬場の寒さをしのいでいた姿が思い浮かぶ。

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