EXSILEとわらび餅

【夜は、イルミネーションに彩られる】

公園の駐車場で、ある人と待ち合わせ。
天気もいいし、時間があったので、ちょっと歩くことにした。

猫たちの餌やりのために公園にくるのは、いつもは夕方。
たまに日中にくると、日暮れの公園とは、雰囲気がまるでちがう。

【昼下がりの公園は、水面から反射する日差しがまぶしい】

散歩がてらぶらぶらしていると、昔風の駄菓子屋に眼がいった。
古い家をちょっと改造して、気のいいおばさんがやっている店だ。

そんな店だから、食べる場所は庭のベンチ。
季節にそぐわない暑さに喉も渇いてきて立ち寄ると、先客がいるようで、中を覗いてみると、かなり場違いな感じのカッコイイお兄さんがいた。

お兄さんが終わってからなにか注文しようと、しばらくベンチに座って待っていると、外に出てきたお兄さんは、「おれ、わらび餅頼んじゃったよ」と、なんだか照れた顔で話しかけてきた。

そのお兄さん、なんだか、あの「EXSILE」というグループのメンバーである「ATSUSHI」によく似ていた。
それほどのファンでもないが、切れのいいダンスの動きには眼を惹かれてつい見入ってしまうグループだった。

詳しくは知らないが、そのEXSILEは今ではメンバーも入れ替わり、新しいグループになったようだが、とにかくカッコいいので、以前は出るとよく見ていた。

で、その初期の頃のメンバーの「ATSUSHI」にお兄さんがよく似ていたので、眼が釘付けになった。
なにしろ、頭から足先まで、少しの隙もなくキメている。

そのお兄さんが、わらび餅、などといったので、思わず口元が緩んで、さらには、「お兄さん、決まってますね。まるでEXSILEみたい」などと、口走ってしまった。

【店内は、懐かしいお菓子で賑やか】

カッコイイ人はたくさんいるが、これほどの決めっぷりが似合う人なんて、そうはいない。
すると、お兄さんは、「えっ、わかります?」と嬉しそうににっこり。

年代も、初期の「EXSILE」世代とお見受けした。
「でも娘たちはいうんですよ、それ、もう古いよって。今はさ、ゆるダボなんだってさ」とお兄さん。

そのうちに、「わらび餅、できましたよ~」と、中からおばさんの声がして、出てきたのが、わらび餅とお茶とお茶受け。
見るとおいしそうなので、私もわらび餅を頼んだ。

【このセットで350円】

「これで350円は、いいだろ? お茶もうまいしね」
お兄さんは、またたくまに平らげて、「じゃ、おれ、授業参観があるんで」と立ち上がった。

「えっ、その格好で授業参観ですか?」
「そうだよ、小腹が空いたから、これ、食べてから行こうと思って。うちはさ、娘が3人。上が18で、下がさ、これから授業参観の子で11歳」

彼は、あっけにとられている私を前に、昼下がりのまぶしい日差しの中へ出て行った。
しばらくして私にも運ばれてきたわらび餅は、ちょっと甘めのきな粉にくるまれておいしかったし、渇いていた喉には、お茶がありがたかった。

【運がよければ、猫にも会えるしね】

お兄さん、見る眼があるわ。近くにあるスターバックスもいいけど、あそこはショーケースにあるものはわりと高いし、なんとなく落ち着かなくて居心地が悪いもんな、などと思いながら、にんまり。

昔風のこんな店のほうが、公園の景色もよくみえるし、気分がいい。
それに、なにより、カッコよくて気のいいお兄さんに出会って、「花猫の会」の立ち上げで、かなりくたびれていたが、活を入れられた気分になった。
EXSILE兄さんとわらび餅に万歳!

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