いいやつだね、と言われるほうが、いい人だね、と言われるよりも、しっくりくる気がする。
そういうこと、あまり言われたことはないけどね。
数日前、なにげなく見ていたテレビ番組で、チューリップの財津一郎さんが、こんなことを言っていた。
「音楽っていいやつなんですよ。でしゃばらないし、気がつくとすっと去っている」
最後のツアーを取材している番組での、最後の言葉。
重みがあった。でも、なかなか、そんないいやつにはなれそうもないなあ。
面立ちにはさすがに年を取ったなあという感じが出ていたが、歌を歌いだすと引き込まれてしまう魅力はまだまだ。
長いこと、癌を患っていたあとのコンサート。
チューリップとかオフコースとか、まんま、私の世代だった。
これまでは懐かしい歌は、あえて聞かないことにしていた。
その歌がはやっていたころの自分を思いだし、なんだか切なくなってしまうからだ。
将来とか未来とかが広がっていた時代を思いだすのは、ちょっときついものだし。
クリスマス、年末と続くこの時期になると、懐かしい歌が流れてくるのを耳にすることが多い。
「この歌が街中に流れている頃、あたしは何をしてたんだっけ」と考えてしまう。
そんな年末を毎年繰り返していたのだけれど、今年は少しばかり例年とは違った。
秋頃からいろんなものを整理してきて、ここ数日は、物が片付いた家の大々的な模様替えをして忙しくしている。
ベッドを二階に移動してカーテンを付け替えたり、ベッドがなくなって広々とした一階の和室には、昔々のコタツを出し、少しだけ残した本やアルバムを並べてみた。
すると、これまでの長い時間の流れが見えてくる。
今年、処分した大きな家具をあげてみると、大きすぎるダイニングテーブル、長年使ってくたびれてきたソファー、古くなったベッドのマットなど。これだけでも相当なスペースを取っていた。
でも、ダイニングテーブルは必要なので、古い机を加工して使っている。ソファーはなくてもかまわないし、マットを布団に替えてみると、背骨がしゃんとする気がする。
どれも気に入っていた物ばかりだったが、掃除しやすくて広いほうがいいなあと思ったわけで。
結果、かなりのリラックス効果で成功。
でも、どれもみんないいやつばかりだったなあ・・・。
長いこと暮しをみつめてくれて、ずっと一緒にいてくれてありがとう。
ミーナも、病院行き、よくがんばったね。
今回はあまり暴れず、麻酔をせずにすんで、いいやつだった。
来年も頼むよ。