人間関係でむずかしいのは、疑心暗鬼におちいってしまったとき。
そのゾーンに入ってしまうと、迷路に入り込んでなかなか出られなくなる。
そして疲れて、エネルギーを浪費してしまう。
自分も相手もおとしめて、なにも得ることがない。
そんなの、馬鹿らしいよなあ。
と思うことに、また出会った。
そうして、そのゾーンに足を踏み入れない方法を学んだ。
いつまでも、同じことを繰り返しているのが、なにかとても無駄なことに思えて、これまでとは違う考え方をしてみることにした。
とても大事に思っている相手へのラインに、なかなか返事がこなかった。
いつも多忙な暮らしを送っている人だから、そんなことは珍しいことではなく、これまでもたびたびあったのだが、今回は、何度か違う用件で出しても、返信がなかった。
なにかあったのかと気になって、彼女のインスタグラムをみてみるが、相変わらずの忙しい様子のほかにはとくに変わったこともなさそうで、一安心。
そのうち返信がくるだろうと考えていた。
けれど、何日たってもやっぱりこなかった。
いくら忙しいとはいえ、以前は翌日にはきていたのに・・・といろいろ理由を考えてしまう。
そうなると、これまでのような、疑心暗鬼のゾーンが眼の前に広がってくる。
相手がなにか誤解をしていたとしても、それは相手の自由。
その程度のつきあいだったと思えばいいし。
嫌われるのを怖がってはだめよ。
そうはいっても、疑心暗鬼の塊はどんどん膨らんで、眠れないまま時間は深夜になる。
「今夜はたぶん眠れないかも」
そのとき、ふっと、天の声?
「ばかね、相手は今頃、あんたのことを嫌いだとか好きだとか、そんなことすら考えてやしないわよ。自分のことで手一杯なのよ、きっと。独り相撲もいい加減にしなよ」
すると、なんだか急に力が抜けた。
「彼女のことだから、そのうちにまた、便りがくるわよね」
そして、翌朝、家のことなどしながら、ちょっと立ち止まり、思いついた。
返信がきてもこなくても、もうどっちでもいいや。
どっちにしても、私は彼女のことを嫌な人だなんて思えないんだもの。
そうすると、いつもどおりに、ものごとが運び、これまでのように落ち込むこともない。
なあんだ、簡単じゃないの。
まずは信じてみることって、とっても気分がいいことじゃん。
自分の機嫌をとりながら過ごすために、いつものルーティンをこなす。
家の中の雰囲気を変え、猫の相手をし、ちょっとだけ食事に手間をかけてみる。
そんなふうに何日か過ごすうちに、彼女から返信がきた。
義理のお父様が亡くなって、いつにもまして大変だったとのこと。
信じるって、大切だ。
誰よりも自分のために。