マザーツリー【2】

【蓬莱橋 世界で一番長い木の橋】

マザーツリーとは、森の中で母なる木として、中心的な役割を果たす大きな木のことをいうのだそうです。
木々は、たがいにコミュニケーションをしているって、すごいことだと思うのです。

植物は芽が出た場所でしか生きられないと思い、動くことができる動物や人間のほうがずっと進んでいると思っていたのに、なんと、植物たちも菌根菌ネットワークを持っていて、水分や栄養交換をし、互いに助け合い、害虫が発生した時には、母なる木が注意報の信号を送り、乾燥が進むと栄養を分配するそうです。

そんな木々のネットワークを知って感激したのは、つい数年前のこと。
いくつになっても新しいものを知ることは楽しいことで、近頃は最近は時間の余裕ができてきたので、わくわくしながら、あれこれと近場を散策しています。

つい最近のことでいえば、大河ドラマの主人公である蔦屋重三郎が開いたという版元の耕書堂という店のミニチュアを見に、市の博物館を覗いてきました。

細部まで細かく作られていて、溜息が出てくるほど。
他にも、江戸の情緒がたっぷりの長屋だの湯屋など並んでいて、人々の活気あふれる声まで聞こえてきそうでした。

【耕書堂のミニチュア】

先日の建国記念日の祝日には、ひさしぶりに、大井川にかかる蓬莱橋を渡り、渡った先にある七福神にもお参り。
さらには、その先にどこまでも広がる茶畑にも行ってみました。

蓬莱橋はドラマや映画にもよく出てくる橋で、世界一長い木橋ということで、ギネスにも登録されている。
長さは897.422m。欄干が低く、風が強くて、飛ばされそうになる。

遠くには、富士山がいつもよりもぐっと近くに見えて、なんとまあ、近くにもいろいろとすばらしいところがあることに気づいて、足取りも軽く茶畑をどんどんと登っていきまして、心晴れ晴れ・・・。

この藤枝にきてすぐに、古墳の丘に捨てられていた親子猫の世話に5年も通い、さらには、皮膚ガンにかかったシロや、アズキやふじ子、モミジなど、かわいい猫たちに引き込まれて蓮華寺池のまわりを回っていた数年間。
考えてみれば、10年近くの月日だったのです。

それはそれで意義あるものだったけれど、引き継いでくれる人もいてくれることだし、今度は自分のために時間やエネルギーを使うことにした。
それでも、古墳の丘に登ると、いまだに、いつも私を待っていたチビとまる子の健気でいじらしい姿がしのばれてくる。

【チビとまる子も、大きな木のそばが好きだった】

こんもりとした古墳のまわりを駆け回る猫たちと、そこに居並ぶ木々たち。
古墳の丘のマザーツリーはどの木だろうか。

あたりを見回して木々に話しかけてみると、風が吹き抜けていき、なにか答えてくれているような気持になります。
母なる木と、その家族のような木々。

老いて枯れて、切られた木にも、かわいらしい小さな芽が出てくるのです。

風の中に立っていると、ふっと、宮沢賢治の「風の又三郎」を思い出され、自分もまた、いつか風になって飛んで行き、どこかの母なる木の養分になるのかしらなどという思いが膨らんでくるのです。

マザーツリーのような存在になれる人がたくさんいるといいな。
そうすれば、きっと、破滅に向かって歩んでいるこの世界は生き返るだろうから。

【もう2年も前に切られた木から、芽が出てきた】

※ マザーツリー【1】は、2023年11月23日に投稿しました。

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