源氏物語の美しき貝

静岡は、雨ばかり続いてます。
なんだか気分まで鬱陶しくなって、なにかいいことに出会わないかなあと思っていた先日のことです。

なにげなくテレビの静岡局の放送を見ていたら、貝合わせの個展が開かれているということで、行ってみたのです。
そして、小さな貝の中に描かれた源氏物語絵巻の美しさに心を奪われて、しばし、現実を忘れて見入ってしまいました。

外の重くて暗い天気など忘れてしまい、小さな貝に描かれた源氏物語の世界に誘われ、思わずきれい! と叫んでしまいました。

個展が開かれているギャラリーへ向かうときに道に迷ってしまったのですが、それがさいわいしたのか、着いたときには閉館にあと一時間もないぎりぎりの時間で、私の他には一人しかいなかった。

なので、ゆっくりと、源氏物語の世界に浸ることができたのでした。

ハマグリの貝の両側にそれぞれ絵を描いて、それを合わせて貝合わせ。
金色のアクリル絵の具とニスを塗って艶をだし、それから細かな絵付けをしていくそうです。

作家の五條博子さんと帰りぎわに少しお話をすると、一個作るのに、約百時間かかるということでした。

ハマグリの貝はわりと小さい。
そこに絵を描いていくわけですから、なんという集中力と根気なんでしょうか。
すごい才能のはずなのに、とても控えめで謙虚な雰囲気を持っていらっしゃる。

なにか人柄にも惹かれてもっとお話をしたかったのだけれど、そばで見学していたもう一人の方もお話をしたかった様子。
なので、お先に失礼してきました。

源氏物語絵巻を見て絵付けをしたということ。
なんとのう、雅な世界をかいまみて、気分だけでも雅になって帰ってきたというわけです。

貝合わせを見てから、もう何日もたつのに、美しい絵物語も印象に残っているけれど、それ以上に私には作家の方の雰囲気のほうが印象に残っていて、もしも機会があれば、また話しをしてみたいと思うのです。

貝合わせがあるなら、人合わせもあるんじゃないかしらなどと考えてしまいました。
だって、人間だって合う人もいれば、どうにも合わない人がいるのだから。

だから、合う人と巡り合うことがどれほど幸運なことかということに気づくと、とても幸せな気分になるのです。
そして、人はなぜだか、結局、そういう人に巡り会うようになっている気もしてくるのです。

だから、これまでの回り道だって、決して無駄ではなかったのだと、自分に言い聞かせているのです。

作家の五條博子さんのインスタグラムは、 @hirohirogojo です。

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。
購読料はかかりません。アドレスが公開されることはありません。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!