忘れていいよ。

【古墳の丘にいたチビ】

今日は、まる子が里親さんに引き取られてちょうど一年がたった日。招いてくれたので、行ってみた。

覚えていてくれたみたいだ。それはうれしい。だけどもう忘れていいんだよ、まる子。
だって、いつまでも古墳の丘のことを覚えていたら、怖い夢をみるかもしれないから。
毎日通った日々は、まる子とチビのためでもあったけれど、今考えてみると、むしろ、自分のためだったような気がするんだもの。

【ずいぶんひさしぶりなのに、膝の上に乗ってきたまる子】
【人の暮しを全く知らなかったチビも、ようやくケージ暮らしからぬけだした。】

あのころ、私はこれからの暮しに対する不安にさいなまれていて、眠れない日々を過ごしていた。
けれど、あなたたちに餌をやるために、古墳の丘に毎日通うようになってからは、とりあえずはあなたたちに餌をやるという目的のために生きてみようと考えて、それからは丘の上で待っていてくれるあなたたちの姿をみるたびにいとおしくて、それが一日のハリになっていった。

【猫たちはいつも待ち構えていて、そして、後をついてきた。】

そうして、あなたたちに餌をやっていると、通る人がなんやかやと話しかけてきてくれて、孤独が癒やされていった。
気がつくと、人付き合いが苦手なはずの性格が、少しずつ扉があくように、まわりに向かって開いていった。
それはとても大切なこととなって、今ではとても大きな実になっている。

あなたたちにとって危険なことや悪いことが起こった時には、勇気を出して戦うことを覚えた。
それまでの私は、他人と揉めそうになると、自分のほうから折れたり逃げたりしていたの。
でもそんなことではあなたたちのことを守れないとわかったから、逃げられなかったし、交渉もした。

【ベランダで遊ぶまる子。ベランダからは古墳のある丘が見える。】

そしてわかったのは、逃げたりおじけづいたりしていては、いっそう、嫌なことは押し寄せてくるということ。
恥ずかしいことだけれど、そんな大切なことさえ、私はちゃんと学んでこなかった。
もしもあなたたちに会っていなければ、ずっとそのまま、生涯を終えていただろう。

嫌なことが起きるたびに誰かのせいにして、そのあと後悔をして自分を責めて・・・。
もうそんなことはうんざりしていたんだよね、自分でも。

あなたたちと一緒に、古墳の丘から眺める富士山はとてもおおらかでなにもかも包んでくれるようで、この身をきれいにしてくれるような気がしたものだっけ。
無垢なあなたたちの可愛さとともに。

まる子の記念日だからと、今日、里親さんが記念日だからと招いてくれて、それでひさしぶりにあなたの顔をみると、あいかわらずの愛くるしさと人懐っこさ。
みんなを癒してくれた丸まっちい体も健在。

【の~んびりできて、よかったね。】

チビのほうも、いよいよケージ暮らしにおさらばみたいで、かなり気儘に暮らせるようになったという話。
チビのイケメンぶりは、まる子の遺伝。
先住猫の黒猫さんと追いかけっこしてるとか。よかった、よかった。こんな奇跡が起きるなんてね。

二匹ともに、ずずずぃーと丸くおさまって、メデタシメデタシ。
無垢なものに触れていると、我が身も無垢になる。無垢なものを守りたいと思って、強くなる。

【いつもチビとまる子がいたこの風景になにかが足らない、と今も時々思う。】

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