チビの保護

ひさしぶりの秋晴れの今日、ようやくチビを保護することができた。きのうのチビは、まるでそのことを予感していたように甘えてきた。いつまでも離れがたいという感じだったから、暗くなるまでそばにいた。自分もまた、チビを撫でる感触を忘れないようにとずっと撫でていた。

捕獲に二度も失敗し、しばらく時間を置いた。そろそろチャンスがあればやるか、という感じだったが、みんな失敗のトラウマを抱え、なかなか踏みだせずにいた。でもやらなくちゃ、という気持は徐々に高まっていた。

そして今日、朝起きたときに不思議な予感があった。それでいつもは夕方にでかけるのを朝にした。空は快晴。途中の坂道からみる富士は、年に一度か二度くらいしかみられないくらいにきっぱりとした姿をみせていた。

これは、朝の人が撮影したもの。

あまりに富士がきれいだったので、写真をとろうかと思ったそのとき、チビをネットに入れて保護したという連絡が入った。よかった、まにあったと思い、写真どころではないと急ぎ足で坂道を登って行った。

斜面から飛び出している土管。このところのチビのすみかだった。

土管が突き出ている場所の上までたどりつくと、キャリーバッグに入ったチビの鳴き声が聞こえてきた。

チビ、すでに中に入っていた。

あらかじめ、土管の近くの茂みに隠して置いたバッグやキャリーなど、用意しておいたものが役に立つ日がきたのだ。ネットで捕獲され、タオルをかぶせられて、何が何だかわからず、恐怖の声で鳴き叫ぶチビの声に胸が痛んだが、きっときっと幸せになれると信じてみんなで運んだ。

途中で脱走したら二度とは会えなくなるかもしれないので、厳重に縛る。

駐車場まで降りるときには、天気がいいこともあって、さまざまな人に出会う。不審な目を向ける人やチビのことを知っている人など、話しかけてくるが今はそれどころではない。

ガタゴトガタゴトとカートが揺れ、チビが鳴き声をあげる。ようやく駐車情に着いて、里親さんの車へ。あとから私たちもついていく。

車で十分もあれば着くところが里親さんの家。中に入れてもらって、あらかじめ組み立てておいてもらったケージの中にキャリーバッグごと入れて、ようやく一息。よかった、よかったと、一同胸をなでおろす。

隣りのケージには、二か月くらい前に保護したという黒猫のくーちゃんがいて、なにごと?という顔でこちらをみていた。チビよりも少し年上のメスだ。よかった、お友達がいて。しばらくは、ケージの中でオウチ暮らしの訓練に入るチビ。猫仲間がいれば、退屈しないだろう。

里親さんも、安心して任せられるようなご家族で、ほっとして失礼し、家に帰って三毛子の顔をみながら休憩をとったあと、ハウスの片付けなどでまた古墳の丘へ。

当然のことだけれど、もうそこには、まる子もチビもいない。そのことをかみしめながらあづまやの方に行くと、夕方の富士があった。

朝の富士と夕の富士。どちらも美しい。見慣れていても、新鮮な驚きがある。思わず手をあわせた。今日の一日の感謝をこめて。

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