今、古墳の丘に続く坂道にはどんぐりが落ちている。少し拾って持ち帰り、三毛子にみせてやると、ころころと転がしてはよく遊ぶ。
いろいろオモチャを買ってみてもなかなか遊んではくれなかったのに、なぜか、どんぐりの不規則な回転と音にはよく反応し、返してやるとまた転がしてよこす。
やっぱり自然の物は動物にはよくなじむんだなあと、感心している。坂道にはどんぐりのほかにもいろいろ面白いものが出現する。雨の夕方、やっぱり出てきたカエルたち。手を触れたり、傘の先で優しく撫でてやったりすると、前のときもそうだったが、うっとりした顔になる。
かわいい姿ではないが、ひょっこりと座っている姿には愛嬌がある。雨の日には、今日はカエルさんたち出てきてくれるかなあなどと思いながら歩いているのだが、出てきてくれるとつい、かまっていじりたくなる。
坂道のカエルもおもしろいが、途中にある山桜が季節をまちがえてしまったか咲いているのもまためずらしいできごとだ。
きょうは、チビの里親さんになってくれる人が夕方にきてくれて、いろいろと話すことができた。とても気さくな人で安心できる人。少し前に野良猫を一匹保護したばかりで、ようやくそちらが落ち着いてきたので、チビを飼ってくれるのだという。
以前にも猫を二匹飼っていたのだそうで、猫のこともよく知っている。まる子も優しい里親さんに恵まれて、チビもまたいい人に巡り会えるなんて、運のいい子たちだ。
チビの捕獲に失敗してから少し時間をおくことにしていたが、そろそろ二週間になるので、またチャレンジしてみようかと話している。それで、チビには毎日、いいオウチに行こうね、まる子母さんのようにしあわせになろうね、と言い聞かせているけれど届いているのかなあ。
今日も、このごろねぐらにしている場所のすぐ近くの大きな木で、ツリークライミングというイベントが開かれて、当然チビは日中は出てこなかったという。それで夕方はイベントが終わるころに行き、呼んだら近くの竹藪から出てきて、餌をたくさん食べた。たぶん、一日中その竹藪の中で身を潜めていたのだろう。
その竹藪、いつもゴソゴソと物音がする。ハクビシンなのかイノシシなのか、それともほかの生き物なのかはわからないが、そのたびにチビはびくっとする。
昨日などは、その竹藪の前でチビがかまえているので、そうっと近づいてみると、なんと、脱皮したばかりのようなヘビのぬけがらがあった。チビは身を低くして身構えていたから、ヘビが脱皮するのをみていたのだろうか。リアルな抜け殻は、私も初めてみるものだった。
薄暗くなり、あたりに人影のなくなったころをみはからってチビは急に活発になる。急斜面を走り抜け、高い杉の木に登る。臆病さと活発さは、いったいどこで折り合いをつけているのかな。
そういえば、どんぐりころころの歌には続編があることを知った。ころころ転がって池に落ちたどんぐりはドジョウとの遊びにも飽きて、リスにおんぶされて山に戻るのだが、もう誰も話し相手がいなくなっていたので、またドジョウに会おうと転がっている途中でリスに拾われて土の中に埋められる。やがて芽が出て立派な木に育ち、どんぐりをいっぱい実らせたそうな。めでたし、めでたし!