チビ、すっかりごぶさたでしたね。
公園で、あなたたちのことを知っている方に出会うと、チビ、どうしてるかな、まるこは元気にしてるのかねと、よく訊ねられるんだよ。
でも、まる子のほうはときどき写真が届くけど、チビのほうはなかなかだったのよね。
それもそのはず、古墳の丘で生まれて古墳の丘しか知らないチビには、人間の暮しは未知のものばかり。いろんなことが怒涛のように押し寄せて恐怖だったのよね。
だから、なかなかケージから出られなかったんでしょ。
ほとんどケージから出ないという話を里親さんから聞いて、このまま一生ケージ暮しかと思って心配してたんだよ。
去年の10月に里親さんちに行ってから半年。ようやく、そろりそろりとケージから出て、すてきなハウスに入るようになったんだってね。
里親さんもほっとしただろうけど、私もようやくほっとしたんだよ~。
こんなに居心地よさそうなハウスをもらって、まる子に劣らず幸せそうだ!
ひさしぶりに見るあなたの顔は、やっぱりかっこよくて、ますますイケメンぶりがあがったみたい。
まる子母さんのほうは、ちがう里親さんのもとで、あいかわらずの可愛いキャラを突進中。
いつもすてきにしてもらって、すっかりカメラ目線にも慣れて、どうよ、という感じでしょ。
こういうの、ミーナだとすぐに取っちゃうんだけど、と言うと、里親さんは、それつけるのは写真を撮るときだけだよって。
ちょっとほっとしました。
チビとは違う意味で、まる子もまた、なかなかベランダに出られなかったみたいだけれど、今はすっかり慣れて、堂々たるもの。セカンドハウスになってるよね。
外の空気を怖がっていたのは、きっと、また古墳の丘に戻されるんじゃないかって不安だったのかもしれない。
それだけ、外での暮らしはきつかったんだよね。
いくら毎日、私たちが通って見守っていたといっても、きっとたかがしれていた。
風にこすれる竹のきしむ音、雷、すぐそばで花火大会の花火が打ち上げられる音や、ふいに現れるイノシシやハクビシンや毒蛇、ときにはひどいことをする人もいて、あなたたちだけで防ぎきれるものではないよね。
台風の夜なんかに、どれほど心配していたって、一緒にいなければ、あなたたちの助けにはならない。
でも、あなたたちのことが気になって、5年間通いつめたことは無駄ではなかった。
きっと今の幸せをつかむためのステップだったと思うよ。
チビ、もっともっと甘えていいんだよ。先住猫さんに遠慮しないでね。またの便りを待ってるね。