段ボール箱に入れたまま、ずっと押入れの奥にしまいこんでいた日記やら原稿やらを引っ張り出してみた。
押入れの下段の半分を占領したままだった段ボール箱には、原稿類や写真類。それと若い時からとぎれとぎれにつけていた日記などが入っている。
開けられることもないまま、引っ越しをするたびにまた押入れに収納されていたものたち。
ここのところ、いろんなものを整理して、最後に残ったパンドラの箱のようなそれらの蓋をあけてみた。
すると、ずっとほったらかしにされていたものたちが、長い眠りからさめるように息づきはじめ、つぎからつぎと記憶を呼び覚ましてくれる。
そうして記憶していたよりもずっと熱い自分が伝わってきた。
読み返しながら、ときどき窓の外を眺めては、わたくし、けっこう頑張ってきたじゃん、という思いを噛みしめる。
残しておきたい写真はスマホで撮つて保存し、あとは処分することに。
さすがに自分の作品が掲載されている本や同人誌、原稿の全てを捨てるのは忍びなく、気に入ったものだけを少しだけ残すことに。
そして、日記はほとんど処分。
捨てる前にざっと読み返してみて、記憶がどれほど曖昧なものかということに気づいた。
そのころの家計費なども記されていて、興味深かった。
ただ漠然と、きた道を振り返るときには、かなりいい加減に生きてきたなあと後悔を含めて思っていたのだが、こうして過去のものを読み返すと、意外にも、寄り道や道草が多いぶん、おもしろくもあり、楽しんでもいたことを知った。
先週はなぜか、いやなことが続いた。
いやなことがあると、なにかを整理したくなる性分。
それで、手つかずにおいてあった箱を、こわごわあけたのだ。
どんな自分が飛び出してくるのかちょっと怖かったのだが、必死だった過去の自分にコングラチュレーション!
過去の自分を肯定したら、今の自分にもエールを送りたくなった!
現実を変えることはできなくても、まあいいか、と笑って過ごすほうがいいに決まってるし。
私が二階の部屋にこもって片付けばかりしているので、ミーナは私を呼びにくる。
中断して階下に降りてコタツに坐ると、膝の上ですぐに寝る形になる。
この子、指を触れられるまでに半年もかかったのに、こんなふうになるなんて思いもしなかったな。