どんぐりの芽

古墳の丘で拾ったどんぐりの実。
ミーナが喜んで遊ぶので、よく持ち帰っていた。
けれど、そのうち飽きたようなので、庭に埋めてみた。
たぶん、そのまま土に還るんだろうと思いながら。

そうして、冬を越して春になり、庭の草取りをしていると、なにやら見たことのあるような小さな葉っぱが、地中からひょっこり。
思わず草と一緒に抜きそうになったが、そこらあたりにどんぐりの実を植えたのを思いだした。

北西のこの場所は、過去に何を植えても枯れてしまったところ。
そんなところに植えたのは、おいどんぐり、こんなとこで芽を出せるものなら出してみろよと、ちょっと意地悪な気持もあったから。
なのに、どんぐりは、さすが古墳育ち。「ほら、どうだい、出てやったぜ」と、どやされた。

このザルいっぱいに摘んだヨモギも、元はといえば古墳の丘から少しだけ引っこ抜いて持ち帰って、庭に植えたもの。
増えに増え、今年はたくさん葉っぱをつけた。
摘んだ若葉を茹でてすりつぶし、粉と混ぜ、あんこを入れて団子の形にする。最後に茹でてできあがり。

【猫はしきりに匂いをかいで、今にもぱくりと噛みつきそうな気配】

だけど、できあがったのは見事なほどに不格好。粉をつけすぎたみたいです。
でも、ミーナが匂いをかいで食べたそうにしていたから、匂いだけはよかったみたい。
それで食べてみたら、みかけよりもおいしい。中のあんこは偏っていたけれど。

【大阪時代の友達が作ってくれたコースター。ちょうと、カキツバタの季節です。】

これは、粒あんと寒天を混ぜて作ったもの。
あずきをコトコト煮ているとき、古墳の公園のアズキのことを考えた。
年老いて、昨年あたりはかなり弱って、もうだめだろうと噂されていたアズキ。

なのに、みごとに復活し、歯が悪くてもまだまだ食欲もあってチュールも大好き。しわがれた甘え声は通る人の郷愁を誘い、猫好きの人の足を止めさせる。

家もなく、長年の相棒だったヒジキを失い、しかも年老いている。
それでも、餌を食べるときには幸せそうな顔をし、チュールをもっとほしいとねだる。そんな姿に、自分もまだまだ頑張らなくてはと、そう思う人もいるだろう。通称、アズキバアバに乾杯!

一方、古墳の丘にやってきた人に引き取られたまる子は、ただいま、ダイエット中。でもなかなか難しいようで、里親さんがこんな面白い写真をラインで送ってくれた。

【ソファの下に入ろうとしている。ちょっと無理とちがう?】

なんとまあ、桃尻ニャンだこと。
古墳にいたときから、まるは、後ろ姿にも魅力があったんだよね。みんなから餌をもらいすぎて、お腹がタポタポしてて、ちょっとX脚の脚が歩くと愛嬌があって。

古墳の丘から持ち帰ったものは、どれもなんだか生命力がすごいのだ。
猫は強運だし、花や草はたくましい。まるで、地中の魂を吸い上げているようで。

ここにある古墳群は1600年もの前のお墓。そんな古代のころにも猫はいたんだろうかって、眺めるたびに思うんだ。

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