お気に入り

コスモスの道

お気に入りの場所ってどこ?
そんなふうに尋ねられて、すぐに答えられる人は、きっととてもしあわせな人だ。

自分にもお気に入りの場所はいくつかあって、今日はひさしぶりに天気もよく、秋によさそうな場所にでかけてみた。

里山の川沿いに奥へと入って行くと、道端にコスモスが日射しをあびて咲いていた。みんなにこにこと笑っている感じに咲いている。

渓流には巨岩がゴロゴロ。水の流れもけっこう速い。奥へと進んで行くと、人工だが大きな滝もあった。今日はとても晴れているぶん気温も高かったから、眼に涼しげで気持がよかった。

お気に入りの場所やものは、変化していくもの。このごろの三毛子のお気に入りは、西側の部屋の窓辺。障子がけっこうバリバリ破られるので、慌てて買ってきた、ちょっと変わった形の爪研ぎ。それが気に入ったらしく、体を嵌め込んでいる。

その微妙なカーブにちょうど体がすっぽりと入るのが気にいったみたいだ。わりと気紛れな性格で、なにを与えてもあまり興味を示さない子が、最近、唯一、気に入っている物だ。

寝転ぶのにもちょうどいいみたいで。かなりの勢いで爪も研ぐ。猫はとても気紛れで、昨日までお気に入りのはずだったものに、翌日はもう見向きもしないということがよくある。なので、これは気に入ってくれそうだと思って買っても、まったくだめなことがよくあって、無駄が多くなる。

外に出さなくなってからとても退屈そうだから、オモチャの類いを通販で買ってみたが、これがほとんどだめだった。リモコンで動くネズミとか、壁に光が映るペンライトとか。興味を示したのは、ほんのいっとき。あとはもう、眼もくれない。

三毛子の興味は、なにかを転がすことだと気づいて、遊びたがるときには、こっちもひたすら運き回る。

ハアハア言いながらボール拾いしたり、段ボールのトンネルのあいだを転がしたり・・・。これが結構な運動になる。

そしてチビのお気に入りの場所は、丘の上の木の上。けれども、このところ居場所がくるくる変わる。以前のように、石や樹木が並ぶ古墳の丘には怖がって行かなくなった。

もしかすると、まる子がいなくなって意地悪をする人の標的がチビだけに向かっているのかもしれない。チビはあっちへ行ったりこっちに戻ったりと、おちつかない。ならば、なんとしてもチビの落ち着き先を探してやらなくてはと焦るが、時間がかかっていて、みつかるまでは保護してみようかと考えているところ。

チビのお気に入りだったこの切り株も、根元から切られてしまい、ちびのお気に入りの場所がなくなっていく。なにも起きないうちに、なんとかしなくてはと焦りながら、坂を上り下りする毎日だ。

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