このたびの署名活動で、ひさしぶりに会った人もいた。
自宅を改装してブティックを開いている、ひまわりのように明るい人、Hちゃんもそのうちの一人。
私は彼女の売り上げにあまり協力できないけれど、彼女はいつものように明るい顔で迎えてくれた。
彼女は、[華」の人。キルトもやっていて、自宅で教室も開いている。
「華」の人の前に伺ったのは、「花」の人。庭や花に情熱を注いでいる。伺うと、テラスのベンチにお茶を出してくださり、花の話や日々のことなどで盛り上がった。玄関の柱が、野良猫の恰好の爪研ぎになっていると苦笑していた。
名簿の一番先に名前を書いてくださった「花」の人のお宅から、ブティック(Orange me)を開いている「華」の人のお宅へと回り、元気をもらいながら順に回った。ときには厳しい意見をおっしゃる方もいて、それはそれで納得もいった。でもね、ノラにだって生きる権利は等しくあるんだよね。
なかには、ここにくる前には犬や猫の保護活動をしていたけれど、もう、きりがないから、引っ越しを機に、そうした活動からすべて手を引いたという方もいた。たしかにこの活動には際限がない。報われることも少なく、人から人へとバトンを繋いでいくようにしないと無理だし、個人の力には無理がある。
そんなこんなでいろんな方のお話を聞いて、なにか、自分の世界が広がった気がした。毎日、公園に歩きに行くほかは、わりと閉じこもりがちな暮らしをしている自分のまわりの壁がバンと取り払われたような・・・。猫のことから、いろんな人の人生がかいまみえ、刺激をもらった。
そして夕方はお決まりの古墳の丘へのウォーキング。チビとまる子はいなくなったが、歩くことはなるべく欠かさないようにしている。
このごろの楽しみは、風に乗って聞こえてくる笛の音。音のする方へと辿って行くと、古墳の丘の上、あづまやのところで夕焼けの富士を見ながら竹笛を吹く人がいる。
お話を伺うと、教室で教えていらっしゃるのだという。ときどき、ライブもやっていたと。「行ってみたいなあ」と言うと、風の人は「コロナでなかなか開けなくなってね」と苦笑い。メンバーも、あちこち住むところがバラバラになってしまったそうだ。
それならアンデスの曲を一曲、とリクエストしてみた。すると快く吹いてくれて、風に乗ってどこへともなく響いていく笛の音をしばらく堪能させてもらった。あとから登ってきた人たちも立ち止まり、耳を傾ける。「風の人」の笛の音は少し物悲しくて心に沁みてくる。