心がつぶれそうな日は、あれこれといろんなことを考えて堂々めぐり。
アズキの捕獲がうまくいかなかった日から、どうも調子が悪い。
雨がその気分に拍車をかけていた。
この間までのアズキは、抱きかかえて少しの時間なら膝の上にも乗ってくれるほどにまで心を許してくれていた。
なのに今は、決して近づこうとしない。
怖い思いをさせたのだから、こちらの気持が通じないのはしかたがない。
なので、しばらくは静観することとした。
それで今日は、ひさしぶりに雨が上がったので、アズキのところはそこそこにして、古墳の丘の上まで登った。
チビとまる子のために、毎日坂道を登っていたころの時間帯だ。
すると、そのころに出会い、丘の上で話をした人たちとつぎつぎに出会う。
みんな、ちょっと年をとった様子だが、相変わらず元気な声をかけてくれる。
猫が培ってくれたおつきあいは、すっかりとぎれたと思っていた今でも繋がっていた。
うれしいなあ、懐かしいなあ。
坂道をのぼる足も、思わず弾んでくる。
アズキのことをきっかけに、ほかの不安も手繰り寄せられてきて、心がぐるぐる巻きに縛られて動きが取れなくなっていたけれど、みんなの笑顔に温められて、一気にパンとはじけたみたい。
ゆるゆると温かな気持になってきて、古墳の丘から眺める駿河湾もゆったりと広がって、まるで大きな腕を広げてくれているようで。
帰りにはひさしぶりにモミジに出会い、ご飯をやったら一気に食べて、そうして、さっと消えました。
「ご飯を貰ったぶんだけ撫でさしてやったよ」
と言ってるみたいで、ほんとに面白い子なんだよなあ。