台風の影響で強風が吹き荒れ、雨も混じって、おてんと様のご機嫌がすこぶる悪かった日、折れて飛ばされてくる枯れ枝に注意をし、上を見ながら坂を登ってチビのもとへ。
ゴウゴウとうなる風のなか、人影のない丘の上では、こんな日にもツバメだけはあいかわらず元気に飛び、チビはあまりの風の強さにおどおどしながらも、餌を食べた。
翌日は、おてんさんのご機嫌がよく、すっきりとした青空。つられてチビもご機嫌だ。外で暮らす猫は、おてんとさんしだいでその日の過ごしかたが変わる。
そして、そろそろ、毎年のあの花も咲き出した。まるで私の頭の中みたいで、みるたびにクスッとなる。
なんでこうなるのかはわからないが、初めはとても可憐な花の形をしているのに、いつのまにやらこんなふうになる。ついつい気になって、毎年、写真をとる。
ああ、きっと、頭のなかもこんなふうにこんがらかってるのね。まるで、糸口がみつからない毛糸みたいに。なんとかこれをほぐす方法はあるのかしらと、つい考えてしまう。
それは無理というもの、これまでの長い年月の絡まりなんだから、という声が天から聞こえてきそうな気がするが、いやいやそんなことはない、ほどけないところはぶったぎって、すっきりとした思考回路にすればいいのだと独り言。
花の糸は少しネバネバしているから、そっとしておく。なんだか、見方によっては頭の中の緻密な血管模様みたい。
と、そんなふうなことを考えながら、家に帰れば、またお転婆娘がかちゃかちゃとやらかしている。三毛子はプラスチックのスプーンが大好きで、このごろはこの遊びがお気に入り。
大好きな段ボールのトンネルの向こうには、三毛子。しばらく遊んでやるが、すぐに飽きてぷいと二階のベランダへ行く。外の様子が気になってしかたがない様子だ。
ベランダにとりつけたジャンプ防止のフェンスもなんなく乗り越えてしまい、隣家の屋根に飛び移るので、今度は柔らかくて足をかけにくいものにしたら、今のところは大丈夫そうだ。
外に出してもらえなくなってからストレスが溜まっているようだが、もう少しの辛抱と、出してやりたい気持をこらえている毎日。こちらもストレスがたまって、坂道の白い花のように、頭がもじゃもじゃになりそうだ。
外では、例の茶トラ猫が待ち構えているし。ストーカーどころか、警官の張り込みみたいに執拗だ。雑草よけに除草剤を撒いている家もあるし、汚れた水を飲んでいるのをみて、ぎょっとしたこともある。
送られてきたラインをみると、まる子は毎日、寝子三昧のようです。もう少し涼しくなったら、また会いに行くことにしましょう。