よく主役をはれる人、という言葉があるけれど、脇役のほうが目立っていて面白いということもある。
このあいだ、ひさしぶりに吉田公園に行ってみると、おもしろい脇役たちがいた。
吉田公園には、花がいっぱい。堂々たる主役。平日にもかかわらずたくさんの人たちがカメラを向けてパシャパシャ!
メインのチューリップはまだちょっと早かったが、ほかの花々は太陽に顔を向けて挨拶をしているように並んでいた。
そんな主役の花園を抜けて奥へと入って行くと、そちらにはほとんど人がいない。まるでひとりじめという感じだ。そしてそこでは、おもしろいパフォーマンスがくりひろげられていた。
これ、まるでシンクロナイズドスイミングではないか。今はアーティスティックスイミングというらしいが、このシンクロぶりはただものじゃない。まるで私たちが通る時を見計らってショーをしてくれているみたいだった。思わず手を叩き、歓声をあげた。聞こえたのかな? 声援に応えるように何度も見せてくれた。
その淵の岩場では、白い猫がなにか訴えるような声をあげながら水を飲みにやってきた。おうい、とこっちから返事をすると、また答える。
そして少し奥まったところの水辺には、カメのファミリーが。小さなカメがおぼつかない泳ぎをして盛んに親の後を追っていた。ほほえましい。
さらにちょっと小高いところを登って行くと、期待していた猫たちが待ち構えていたように寄ってくる。以前に餌やりさんと出会ったが、どうやらちょうど時間が重なったらしい。持ち歩いている猫用のおやつを少しやった。
以前に出会った「吉田公園の猫を守る会」というカードを胸に下げている方に出会えるかなあと期待していたが、出会えなかった。猫さんたち、よろしく伝えてね。
主役をはれる人と脇役になる人と、どっちがいいかと言われたら、たぶん、たいていの人は、主役と答えるだろう。
私が小学生だったころ、それはずいぶん昔のことになるけれど、学芸会というものがあって、子供たちが歌や劇などを父兄たちの前で披露する行事があった。
そのとき私はお城の王女様に使える召使の役をわりあてられた。とにかく人前に出るのは絶対に嫌だったので、先生に嫌だと言ったが聞き入れてもらえなかった。
いやいやながら迎えた本番の日、私は緊張のあまり、舞台の上で見事に転んでしまった。母が縫ってくれた長いドレスの裾を踏んでしまったのだ。しんとしていた会場が笑いの渦に。もちろん後で先生に怒られたが、ほかの人たちはあすこがおかしかったと言った。
そのせいではないだろうが、脇役に眼がいくほうだ。個性が強くて味があるのは、たいてい脇役のほう。
でも、自分の人生の主役は自分以外にないのだから、そこだけは誰にも譲れないよね。譲っちゃってしまってたこともたくさんあったけどね。