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夕涼み
夕方の花はなんとのうものがなしい。季節はずれの藤の花が咲くそばで、シロが毛繕い。ぼうっと浮かぶ白い姿が、いとおしい。 -
ぎゅっと抱きしめたい
ぎゅっと抱きしめる。それは、どんな言葉よりも強い力で相手に届く。 おとなになっても歳をとっても変わらないもの。 けれど、抱きしめたくても抱きしめられないものもある。 -
ハードルがどんどん高くなる。
みんなに可愛がられるアズキ。警戒心が強すぎる孤高のシロ。猫の性格は、人の性格とよく似ている。 シロの背中を撫でられた頃が、今は夢のように思える。 -
心が透けてみえるとき
ここの猫はここで終わるのがいい。自分もそう思っていた。悲惨なシロをみるまでは。 見て見ぬふりができなくなって、こんなになって、そして・・・。 -
ドクターカーに乗る。
公園のシロの保護のことで市役所に行った。対応は、きわめて冷淡で、こちらの話を聞こうとしなかった。あまりの対応にショックをうけ、倒れてしまった。 -
今日という日を愛せるかい。
今日という日を愛せるのは、とてもうれしいことだよね。耳をなくしたシロが、そう語っている気がした。