古墳の丘から降りてくると滝があり、まわりは広場や藤棚になっている。そのあたりにいるのは、白猫とまだら模様の猫だ。
どちらも、古墳の丘の親子猫よりもずっと先輩で、白猫の方はだいぶ前に捨てられたのだという。まだら模様の方はここで生まれた生粋の野良だ。だから、家というものを知らない。
すらりとした体形の白猫は、両目の色が違う。片方がきれいなブルーである。みつめているとなんだか引き込まれそうになる。
一方のまだらの猫ときたら、黒と茶をぐちゃぐちゃに組み合わせたような体毛で、しかもラグビーボールみたいにずんぐりむっくり。どうすればこんなに不細工になるものだろうと不憫に思っていたら、案外と要領がよくて、餌にありつくのがうまい。生まれつきの野良にしては以外と甘え上手だ。だからつい、かまってやりたくもなる。
二匹の猫は仲が悪く、近くて遠い関係だ。
白猫は腹が空いているときは執拗にあとをついてくるが、まだらの猫は見切りをつけるのが早い。性格もまるで違うのである。