赤い靴はいてた女の子

「赤い靴はいてた女の子」という歌から想像すると、えっ、と思う内容の話。小さな女の子と母親の像の脇に、赤い靴の女の子の生い立ちとその後のことが書いてあった。

読んでみると、歌から想像していたものとはまるで違うので驚いた。赤い靴はいてた女の子のことを、私は子供のころからずっと、異人さんに連れられて異国に行ったのだとばかり思っていたのだ。だから、この話を読んで胸がしめつけられてしまった。病床のきみちゃんは、どれほど母親に会いたかったことだろうか。

親子の像は、「日本平夢テラス」のそばにあった。

真新しい「日本平夢テラス」という建造物は、八角形の形をした、三階建でのガラス貼り。四方八方が見渡せるようになっている。海も富士山も、街も、ほかの山々も。

いつも遠くにみえている富士山は、ここからみると、とても高いところにあった。晴れていれば裾野までの稜線が大きくひろがって、とてもきれいにみえるらしい。  神話では、ここでヤマトタケルノミコトが、下をみおろして検地をしたのだとか・・・。

そしてそこから少し歩くと、赤い靴の少女と母親の像があり、その先にはケーブルカーの乗り場がある。徳川家康を祀ってある久能山の東照宮へと向かう。ケーブルカーの外側にも、葵の紋章。

乗ると、けっこう高さがある。家康がここにくる前には、武田信玄の城があったのだという。そして、なんと、乗り降りするところには、猫がいた。とても模様が似ているところをみると、親子か兄弟かもしれない。人の出入りが多いところだが、怖がる気配もなく、日差しを浴びて気持ちよさそうにしていた。

赤い靴はいてた女の子の物語がせつなくて、少し気持が沈んでしまったが、この猫たちをみて、気持がふわっと丸くなった。猫は、まわりの空気を一瞬で変えてしまう生き物だ。