猫と一緒に夕日をみよう。

今日、丘の上は、めずらしく穏やかだった。夕日があたり、毎日吹きつけていた強い風もなく、暖かな大気に包まれていた。気持もゆったりするような。気がつくと、まる子が寄り添うようにそばに寄ってきて、しばらく一緒に沈んでいく太陽を眺めた。

この季節、寒い日には、猫たちは餌を食べたあと、そそくさと毛繕いをし、おたがいに体を寄せ合って、おしくらまんじゅうならぬ、猫まんじゅうになる。

でも、今日は、私が夕日に向かって深呼吸をしていたら、そっとそばに寄ってきてくっついてきた。ねえねえ、ママ、という感じかな。

いつもにくらべて穏やかな天気で、二匹は少し離れたところで勝手にリラックスしていたのだが、まる子は甘えたくなったのかもしれない。誰かに飼われていてここに捨てられたまる子は、ときどき人が恋しくなるようだ。

でも私は、あまり猫たちに近づきすぎないようにしている。三毛子に対してもそうだが、適当な距離感があるほうが心地よい。

チビとまる子の様子もずいぶん変わった。チビがまだ小さいときには、いつもまる子のほうを気にしてくつついていたのに、いつのまにか対等な関係になり、親子だが、適度な距離を保っている。

竹林のあいだからも沈む夕日がさしこんで、みつめていたら、いつのまにか、また足許にまる子がきていた。今日はよほど甘えたいんだろうな。そう思って撫でてやろうとしゃがんだら、ぷいと離れた。

帰る時間が近づいて、きっと拗ねてしまったんだろう。気持がきゅっとひきしぼられて、後ろ髪をひかれる。

今日の富士は端然としていた。雪のスカートもだいぶ長くなり、ようやく富士らしくなってきた。

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