ミステリー

桜が咲くころが私の誕生日。花束を頂くことはこれまでにも何度かあったけれど、今回の、公園の駐車場で渡された猫ダチさんからのは、意外だったせいもあって、とてもハッピーな気持になった。だって、花束を頂く機会なんて、もうずうっとずうっとなかったものでして。ふわあっと、甘い香りが鼻先に漂ってきて、いい気持になったのです。

猫ダチさんとは、彼女が、公園のはぐれ猫だった猫にナナという名前をつけて世話をしだしてからのおつきあい。まだそれほど長いつきあいではないけれど、楽しい仲間となった。たがいに、世話をしている猫のことで協力しあえたらいいなあと思っている。一人でも仲間がふえるのはうれしい。

坂道のわきの鈴蘭水仙もきれいに開いて、春を満喫している様子だ。桜だけでなく、野には春の花があちこちに。これまでみすごしてきた花々のなんと多いことか。道端に咲く花に眼もくれないで、足早に歩いていた日々のことを思う。

三毛子は相変わらずテレビにご執心。天気予報のキャスターが持つ丸い球のついた棒が動くと、さっそくテレビの前に走る。

丸いモフモフにタッチ!

ちょっとおちついてきたのか、三毛子が寝ているベッドのそばに座って脚を伸ばしていると、チョイチョイと手をだしてくる。それでこちらも肉球にそっと触れてやると、初めはビクッとしたりフウーッと威嚇したりしていたが、そのうちにあまり驚かなくなった。

三毛子といつも一緒にいたグレーの親子猫の、その後の様子が気になっていたら、ようやく、猫たちが住み着いている家の近所の方と話をする機会を得て、大きい方のは元気で飛び回っていたという話を聞いた。小さい方も、ちらりとみかけた程度だが、どうやら元気そうだ。

その人も三毛子のことを三毛子と呼び、グレーの小さいほうをグレ子と呼んでいるというので、偶然の一致に、二人して思わず笑った。

噂では、その人が三毛子の避妊手術をしてくれたようだと聞いていたので、その話をすると、ちがうという。それではいったい誰が? 三毛子たちが軒先に住みついている家の主も知らないと話していた。

三毛子の後ろにいるのが、いつも一緒にいたグレ子。

三毛子のまわりは、ミステリーでいっぱいだ。もう一匹の三毛猫の死因もはっきりしない。そういうこともあって、三毛子を保護する気になった。三毛猫のオスはとても珍しくて珍重されるという。もしも生きていたならと、三毛子をみていて考えることがある。相棒をなくした三毛子はどんな気持だったろう。

なにをみてるの?

病院に連れて行くのが一苦労だった三毛子。耳のカットだけでなく、腹部に体毛を剃ったあとや傷跡があり、その体毛も生え揃ってきたところをみると、避妊手術をしたのはまちがいないだろう。ワクチンやノミダニ除けの処置をしてくれた獣医さんの話によると、外見上、とくに体の異常は見当たらなかったという。

それにしても、いったい誰がどうやって三毛子を捕まえることができたのか、手術をしてくれたのか、三毛子にまつわるミステリーはつきない。知るのは三毛子のみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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