バラの夢
オープンガーデンに参加されている方の庭を訪ねて3軒めのお家。外せない用事があって、時間ギリギリに行ったが、まだ訪問者が数人いて、笑い声が絶えない様子でほっとした。
ちょっと疲れ気味で萎えていた気持が、庭に足を踏み入れたとたんに、まるで花のシャワーを浴びるようにしてみるみる潤い、やがて感嘆に変わった。
まず初めに出迎えてくれたのは、外に向かって咲く大きなテッセン。そして、こぼれそうに咲くバラ。
玄関のしつらいも、落ち着きすぎず、派手すぎず、ほどよい感じ。招かれる人はきっとここで、ほっと一息つくことだろう。
椅子の背凭れにも、かわいい花が。
庭というよりも庭園という雰囲気だ。色どりも豊かに咲きこぼれるバラたちに囲まれていると、手入れが大変だろうなあと思いながらも、こんな庭でゆったりとできたら、どんなにか心地いいだろうかという幻想もわいてくる。
小物の鉢などもさりげなくしゃれている。まるで庭の本から抜け出したような・・・。
ここの庭の主とは以前に同じクラブで知り合い、私がやめてからはずっとごぶさただった。けれども、庭のことが縁でひさしぶりに再会した。とてもやさしい雰囲気を持つ方で、そのイメージどおりの庭にしあがっていることに驚いた。ひととおり、裏庭まで見せていただいたが、手を抜いているところがない。裏庭では、アジサイがひっそりと咲いていた。
夢かうつつか、バラの魅力にすっかりとりつかれたまま、ぼうっとしてひきあげて、いつもの行動に入ると、ようやく現実が戻ってきた。
公園の坂道を登りはじめるころには、すっかり現実。昼過ぎまでの病院疲れもあって、いつもよりも息があがる。そして、二匹はちゃんと今日もお出迎え。
まる子は、カバンやリュックが好きだ。というよりも、なにか拠り所となるものがあると安心するのだろう。おじさんのカバンは、よりかかるのにちょうどいい高さのようだ。
ふっと、花に囲まれた庭のデッキで、まる子がこんなふうにしてくつろいでいる姿を想像してみた。私もバラが好きで、山形では、白いフェンスに赤いミニバラをからませたり、クレマチスを車庫の塀沿いに伸ばしてみたりしていた。デッキで、元気なころのプリンとマロンがくつろいでいる姿をひさしぶりに思いだし、しあわせな気持になった。