~富岡義勇~
公園には、ジムが休みのせいかランニングをする人がふえている。走る人はマスクもつけずに、ハアハアと大きな息を吐いて通りすぎる。ランナーの呼吸は、くしゃみや咳をするのと同じくらいの飛沫が飛ぶと、テレビで大学の教授が言っていた。走るのなら、それなりの予防をしてほしいと思う。
学校が休みだから、子供は猫を追いかけ回すし、とにかく落ち着かない毎日。本当ならでかけたくないところだが、チビまる子が餌を待っている。そんな時にも楽しい出会いがあると、ちょっと救われた気持になる。
この猫に出会ったのは、かなり憂鬱な気分で坂をのぼりかけているときだった。藤棚が続いている坂道を行く私の前に、なにやら奇妙な恰好をした猫がいるではないか。
後ろには藤棚。見頃はもう少し先のもよう。
猫と飼い主さんは、東屋で休憩。おもしろそうなカップルなので、さっそくに写真を撮らせてもらい、そしてお話を伺うことに。
すると、この猫様のコスプレは、「鬼滅の刃」の主人公、炭治郎に重要な関わりを持つ柱の一人、富岡義勇の半纏だという。
驚いていると、飼い主さんは、それまで肩に下げていたものを広げ、富岡義勇猫は畳の上へ。おうっ、そういうことかと、またびっくり!
飼い主さんは、どうも藤の花をバックに撮影したかったようで、藤がまだあまり盛りでないことにがっかりした様子。なので、少し坂を上った途中に藤の里があって、そこなら咲いていることを伝えると、飼い主さんは、この折り畳みの畳椅子を肩にさげ、猫を抱き、さらに大きなバッグを持って、私たちと途中まで一緒に歩いた。
坂の途中で振り返ると、彼は藤の花の前に畳椅子を広げ、炭治郎猫を撮影していた。家の中に6匹の猫を飼い、外でも5匹の猫の面倒をみているという彼は、にこやかで、とても穏やかな顔をしていた。世界中がざわざわと落ち着かないなか、ユーモラスなものをみて、ほっと一息ついたような気持になった。
ユーモラスといえば、途中でケンに出会った。なぜだろう、ケンがひたむきに私に向かってくるのをみると、とてもうれしくてしあわせな気持になるのだ。
丘の上では、チビが草むらを探索中だった。首のあたりになにかに噛まれたような傷がある。首だからなあ、ちょっと気になる。
鋭い爪を出す野獣の眼。このままだと、チビは夏が終わるまでに傷だらけになりそうだ。
まる子と一緒に瞑想中 風の音を聞きながら。
富士山は、ひさしぶりにくっきり。
家に帰ると、三毛子がこんな顔でごはん待ち。スリスリはまだだが、だいぶ距離を縮めてきた。こんな眼でみつめられると、ついつい餌のやりすぎになってしまいかねない。
三毛子が餌を食べているの横目に、さっそくネットで「鬼滅の刃」を調べてみると、えらくおもしろそうなアニメだ。作者は、吾峠呼世晴という人で、舞台は、大正時代の日本。炭を焼く心優しい少年が、鬼に家族を殺され、その鬼を討つために妹と旅立つ物語。
キャッチに、「その刃で、悪夢を断ち斬れ」とある。どうか、その刃で、悪夢のようなコロナ禍を断ち斬ってほしい!