蓮華寺池公園に毎日通っていると、思いがけず、いろんな催し物に出会う。それまで知らなかった世界をかいまみて驚く。そして、わくわくする。池のほとりの芝生近くにある建物の二階から楽しそうな声が聞こえ、誘われるようにして階段を昇って行くと、そこでは、小さなかわいいものたちと緑の世界がコラボしていた。
これは、ビーズで作ったというかすみ草。ピアスにしてある。
ビーズで作ったというジュエリーは可憐で、手を触れたら壊れそうで、そっと眺めるだけにした。
てぐすで繋いでいくというが、あまりに小さくて、いったいどれほどの根気がいることかと思うと、ためいきが出そうになる。よほど好きでなければ、できることではない。
これは、なんだか雪の結晶のようにみえる。以前の私はネックレスやらイヤリングやらつけるのが好きだったが、このごろはほとんどなにもつけない。洋服も、すっかり実用的でシンプルなものに変わった。それでもこんな繊細なものを眺めていると、ドキドキしてくる。
わけもわからず、にぎやかな声に誘われて入って行っのだが、案内をみると、「植物と暮らし展」というもので、銅版画、絵、イラストレーター、ジュエリーデザイナー、ガーデンなどの作家さんたちが集まって開いている展示販売会だった。11月30日まで開かれるという。
フロアーには緑、そして壁には、きれいな色使いの絵が飾られてあった。
展示のしかたもさりげなくて、どれも個性豊かだ。
絵のそばには、詩的なメッセージも添えてあった。
緑も、人間も、いろんな種が混じりあって、反発しあったり協調しあったり、いろいろだ。でも、そんなエネルギーも、しらずしらず、枯渇していくけれど。
と、いつになく深遠な気分になっていたのだが、一階の食べ物屋さんから、香ばしい匂いが漂ってくる。その匂いにつられて下へ降りて行くと、揚げたばかりのポテトとを召し上がっているのは、この展示会のスタッフの方たち。
そのおいしそうなこと。ああ、こういうことには、アタシはたまらなく弱くて、食いしん坊なところは、いつまでも変わらないところだ。だけど、食べている暇はなく、ふりきるようにしてチビまる子のもとへと急いだ。
そんなわけで、だいぶ道草を食ってしまい、大急ぎで坂を上って行くと、ときどき会う、山ガールとひさしぶりに会い、また雑談。ガールとはいっても、団塊の世代なんだけれど、とにかく彼女は、毎年のように南アルプスに登るというつわもの。いたずらっぽく、ほら、といって後ろを向くと、なにか変わった模様があり、なんでもどこかの店の暖簾をパンツにしたててもらったのだそうだ。
葵の御紋のような模様もあり、おうっ、すごいじゃん! と思わず感嘆。この方、生き方だけでなく、洋服も個性豊かだなあ。
まる子は、富士をバックに古墳の上を闊歩。勝手知ったる我が縄張りなのだ。まさに、猫と古墳と富士山だ。
あっというまに日が暮れる季節になった。帰りぎわ、後ろをふりかえると、二匹は、背中で、今日の別れを告げていた。