猫はなぜだか、蛇をみつけてしまう。今度は市松模様の蛇だった。
離れていても気配を感じるのだろう。チビはゆっくりと近づいて行く。
そして、古墳の上で居場所をつきとめる。どうやらそばの植え込みにいるようだ。
その姿は、やっぱり獲物を狙うトラのようだ。獲物をみつけたら、すかさず、猫パンチ。そして、後ろへ回ったり前に回ったり。鎌首をもちあげる蛇の動きを俊敏にかわして防御。そしてまた猫パンチ。それはまるで、たがいに打ち合うボクサーのようだ。
近づいて行くと、なんと、市松模様の蛇。猛毒を持つというヤマカガシかもしれないが、色が青っぽい。初めて見る模様だ。ここにいるのはたいてい青大将だが、これはかなり様子がちがう。胴体は、東京のオリンピックマークみたい。
チビの様子をみていたまる子は、「なあに、なにをしてるのよ」、という感じで近づいて行くが、ちらっと蛇を見ただけですぐに離れてしまう。
「おまえはまだそんなことばかりしてるのかい、いい加減にしなさいよ」、とチビを小馬鹿にしているような感じ。そうしてまる子は、ごはんのあとの毛づくろいを始める。
気勢をそがれたのか、チビは、横を向いた。こんな模様の蛇を見るのは初めてなのに、とでも言っているのか。
その隙に蛇はそろりそろりと引っ込んだ。先日、チビは、草むらの小枝に巻きついた蛇の尻尾をくわえ、紐のように引っ張っていたが、今日は早くも戦意喪失。
私の足許から30センチも離れていないところに、蛇がいたこともあった。目の悪い私には、ずいぶんきれいな模様の棒が転がっているようにしかみえなかった。なんでこんなところにこんな棒があるのか、誰かがステッキでも忘れて行ったのか、などと吞気にかまえていたら、チビの形相が変わって蛇だとわかり、思わず、あとずさった。古墳の丘には、いろんな模様の蛇がいるようだ。