咲きかけのシャクナゲの花。いつも咲いたところばかりみていたから、こういうのは初めて。毎日同じ道を歩いていても、知らなかったことはいろいろあって、発見したときは楽しい。
人間と一緒に暮らしたことのない三毛子にとっても、今の毎日は驚きの連続だろう。見るもの聞くもの、すべてが未知の世界。部屋の中のものも初めてなら、そこで暮らす人の動きも予測がつかない。それでいちいちこちらの動きに反応する。
そしてくたびれると、入れてやったぬいぐるみと一緒にうたたね。
起きてはまた、キョロキョロ。近づくと、ときどき、フーッと威嚇する。かと思うと、あおむけになって腹を見せるときもある。おう、ようやく打ち解けてくれたのかい、とほっとしていると、一晩寝るとリセットがかかるのか、またフーッと威嚇。おいおい、そんなふうではケージから出してやれないではないか。
借りたケージは子猫用のもので、三毛子には小さく、人との暮しに慣れるまでしばらく時間がかかりそうなので、大きめのケージをネットで購入した。上下に運動できるようになって、三毛子は活発に動きだし、好奇心もあらわ。
きのうは、テレビをつけていると、とたんに三毛子の様子が変わった。
すぐに、獲物をみる態勢になった。
テレビに映っている鳥の動きや鳴き声を本物と思っているようだ。猫の本能だ。鳥だけでなく、テレビをつけていると画面をじっとみつめ、動きを追っている。こんなにテレビに夢中になるとはなあ。昔猫のプリンとマロンはテレビに興味を示さなかったから意外だった。
三毛子の反応に刺激を受け、モノトーンのようだった暮らしにも活気が加わった。家の中に笑いがふえ、夕方に公園に行くときにも、帰りが楽しみになった。
公園の坂道の山桜は満開。崖にも薄紫の小さな花が咲いている。ショウジョウバカマの一種。
花が開く前、袴のように広がっていることからこんな名前がついたらしい。そして今日の富士は、ほんのりと紅の空の下、やわらかくみえた。