まだ正月も明けぬというのに春だなんて、なんとも気が早いと思うのですが、でも、冬きたりなば春遠からじ、という言葉があるくらいで、やっぱり年があらたまると、なんとのう光が春めいてくる気がします。少なくとも花屋さんの店先には、春がもう色とりどり。
道端の花壇の花だって、寒さに耐えて一生懸命咲いています。
なんてけなげなの、と思わず車から降りて写しました。週末からはまた寒くなるそうですが、きっと耐えてくれるでしょう。
私は高校生のとき、春休みに農業試験場でアルバイトをしたことがありました。温室で花を育てたりイチゴを育てたりし、農機具の販売祭りの日には花やイチゴをトラックに積み込んで助手席に座り、売りに行きました。
店でもないのに売れるのかなあと思いながら、鉢やイチゴを並べ、木箱の上に坐っていると、農機具をみにきた人たちがなんだかんだと話しかけてきて、意外と売れ行きはよかったものです。花売り娘だねえ、とからかわれたりもしましたが。
私が一番力を入れて育てたのは苺で、実が全体に赤くなるようにときどき回してやって、日の光が均等にあたるように気をつけていたものです。
温室は一定の温度に保つために、気温によって風を通したり閉めたりしなくてはなりません。試験場の敷地には農家の後継者たちの学びの場もあり、彼らの野太い声が風に乗って響いてきたものでした。
その地域には、縄文時代の土器がたくさん埋まっていて、掘り出された土器は博物館に展示されていました。
そのせいでしょうか、なにかそこらへん一帯には独特な空気が漂っていたような気がしたものです。縄文館の中に入ると、さまざまな土器が並んでいて、まるでジグソーパズルみたいに破片を埋めた土器が並んでいるんです。
眺めていると、なんだか時空を超えてその時代の空気を感じられるような、不思議な気持になりました。
外にはまだ凍りつくような風がふきすさんでいても、温室の中には色鮮やかな花やイチゴが並んでいて、自分が誰よりも早く春を掴まえているような、弾んだ気分になってきます。あの時の春は、たしかに、花の春だったんです。
今日は、丘の上も暖かく、チビまる子にとってはありがたいお天気。ここ数日、吹き荒れていた北風もなく、二匹はいつもよりもリラックス。
いつもまる子がいる木の根元は、ちょうどまる子の体にあわせて丸くくぼみ、とてもいいぐあい。大きな石は風よけになるし。まる子は本当に知恵が回る。チビはそのまわりをうろうろ。週末にはまた大寒波がくるとか、おてんとさま、どうかおてやわらかに。