ミモザの季節である。黄色のミモザの花言葉は、「秘密の恋」。秘密の恋だなんて、ちょっと言葉にするのはためらわれるけれど、香水の原料にもなるというから、納得!
誰かと誰かが出会うことには、きっと深い意味があるはず。男と女ならなおのこと。そんなことを考えて、小さな物語を書いてみたことがあった。
場所は観光地。ありきたりだが、観光地というところは、年代も人種も階層もさまざま、いろんな人々が出会う場所。その駐車場にいるのが30代くらいの女。
渋滞しているのか、待ち合わせた駐車場に男はなかなかこない。それで女は近くを歩くことにし、沼を巡る道に入って行く。
夏が終わるころで、日傘を通してもなお日差しはまだ強かったが、山を降りてくる風はひんやりとして、汗ばんでいた肌に心地よい。長いスカートが風に揺れ、脚のあいだを風が抜けていく。
大きな沼の前で女は立ち止まり、女の子を連れた家族に出会う。もう夏休みも終わりの頃で、家族は夏が終わる前に大急ぎで旅行にでかけてきたようにみえた。真っ白な帽子をかぶった女の子は、夏休みのあいだじゅう、家族とでかける日を心待ちにして、その帽子を大切にしまっていたのだろう。
白いつば広の帽子を被った少女をみて、女は眼をそらす。その白さが眼に刺さるようにまぶしかったのだ。
少女とその家族が笑い声をあげなが立ち去った後、女は、バッグから鍵をとりだして、沼に放った。それは男が住む部屋の鍵だったが、なぜだか不意に、もう、こんなのいらない、と思ったのだ。そしてすぐに帰ろうと足早に自分の車に戻るとき、見慣れた黒い車がやってくるのがみえた。
ちょっと角張っていて、自信に満ちた顔がちらっと見えた。女はすばやく自分の車に乗り、走りだした。バックミラーに黒い車が追ってくるのが映り、携帯電話が鳴る。顔をしかめる男の表情もみえる。だが、女はスピードを落とさない。そして男は、思ったとおり途中で追ってくるのをやめた。
しばらく山道を走ったあと、女は、街に入って通りの店に寄り、一つだけ残っていた白い帽子を買った。まっさらな帽子をかぶった鏡の中の顔は、いつになく晴れやかで、女はひさしぶりに鏡に向かってほほえんだ。ふいに、その後ろを、沼で出会った白い帽子の少女がよぎったように見えた。
なんとなく、思い浮かぶまま書いてみたものでした。
猫たちとの出会いもまた、なにかの因縁でしょうか。チビはときおり、とても素敵な顔をします。瞳がグリーンで吸い込まれるような眼をしています。ビビリですが、ときに他の猫がやってくると、必死に縄張りとまる子を守ろうとして戦います。思わず、がんばれ! と応援します。
傷を負ったチビの治療をするのは、結局、自分なんですが。
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