遊びをせんとや生まれけん

 

チビ、入ろうとして、何度もチャレンジするが・・・。

いまいち度胸が出ず、まる子を探している。だが、まる子はなにかみつけたようで。

視線の先をみてみるが、人間の眼にはとらえられない。まる子、いったいなにをみてるの?

ついにチビもまる子の方へ行く。

そろそろ、いろんな虫や蛇が目覚めて活発になるころだ。チビまる子が活発に遊ぶ季節がやってきた。

猫は、遊びの天才だ。草むらのほんのかすかな動きにも反応し、確かめに行き、遊ぶ。まさに、猫は、「遊びをせんとや生まれけん」だ。

遊びをせんとや生まれけん。戯れせんとや生まれけん。遊ぶ子供の声聞けば、我が身さへこそゆるがるれ。

平安時代の歌だという。この歌を知った時には日々忙しくしていて、そりゃあそんなふうに生きられたらいいだろうけど、とちょっと斜に構えてしまった。けれど、この年になると、この歌の深い意味がしんしんと深く入ってくる。純粋に遊べなくなっているのは、あまりにも雑念が多すぎるからかな・・・。

遊んだあとはこうして、ゆったり。石の傾きやくぼみがまる子にちょうどいいらしい。こんな時は私までもゆったりほっくりとした気分になる。

一方チビは、やっぱりここがお気に入り。でも、もうじき草がのびると、ここはすっかり草に覆われて隠れてしまう。そして、あたりには、蛇、蚊、ダニ、スズメバチに加えて、イノシシまで出没するようになる。

チビの耳にびっしりとついたマダニを見たときは寒気がした。毒蛇をいじるチビを見たときも。マダニは薬でなんとかなったが、蛇やイノシシには近づけない。自分の足許、数センチの近さにいる蛇に、チビが反応するまで気づかなかったときもある。

これからの季節は、遊びをせんとや・・・ではなく、いろんな外敵と戦いすんで日が暮れて、という季節が続く。寒い季節のほうが案外と楽だ。

空はおぼろで、春がすみ。池のまわりの桜並木も、少しずつ咲き始めた。

 

 

 

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