暑くなってきて、坂をのぼるのが日々きつくなってきた。でも、坂の上ではまる子が待っている。まるで道先案内をするように。右は清水山へと続くハイキングコース、左は古墳群。でもさあ、古墳もなにも、あたりは草ぼうぼうでさっぱりわかんなくなっているんだよね。
今年はまだ草刈りが行われていないのだ。例年ならもう終わっているはずなのに。なので、餌をやる石のまわりだけでも草を刈った。蛇やら蚊やらの対策を少しでもと思って。
早く刈ってくださいよう、市役所さん! いつも思うのだけど、どうして誰も歩かないような崖はいち早くやるのに、みんなが歩くようなところは後回しになるのかなあ・・・。
【曲がっちゃってるんです】
でもこの季節の楽しみは、途中の道にさまざまな花が咲き乱れていることだ。まわりを見ながらぶらぶら歩きができる。暑いから、のんびりと歩くようにしている。せかせか歩いていると、なんも眼に入ってこないしね。
【ひそやかなんです】
そして猫は、ときおりものおもう顔をする。
猫は人が歩くときに、まるで道先案内でもするように前を歩くことがある。右へ行こうか左にしようかと迷うとき、猫が行く方を選ぶとまちがいがない気がする。人生の道案内もしてくれたらなあ・・・、なんてね。
三毛子、こんなふうにおとなしくしているかと思えば、もうつぎの瞬間には猛烈に動きだす。予測がつかない。おかげでカーテンは乱れっぱなしだ。ある作家の言葉で、物語を書きたいなら猫をそばにおいて観察するとよい、と。だが、三毛子にかぎっては、眼がついていかないほどの素早さだ。
この子に道先案内をしてもらったら、どこへすっとんで行くやら。たとえその先が絶壁であろうと、眼の前に興味があるものがあると、まっしぐらに突っ込んで行く気がする。たぶん、そんな猫らしからぬところが、この猫の魅力だ。
がけっぷちの蝶。空に羽が透けてみえる。三毛子なら飛び上がるかもしれない。