譲渡会

保護猫の譲渡会が焼津のイオンで開かれるというので、行ってみると、かわいい子猫たちがいた。その中でもとくに眼を惹いたのがこの、とても小さな黒猫。昔猫のプリンを思わせるような子だ。古墳の丘のチビまる子のこともあって行ってみたのだが、ミイラ取りがミイラになりそうになり、衝動的に連れて帰りたい気持を必死でこらえた。

この子たちは、生まれてからまだ一月もたっていない。

ほかの猫たちも、みんなかわいくて、どれも人懐こい様子だった。

ちょっと大きな子たちでも、3、4カ月くらい。

譲渡会を開いている方々は、とても柔和で優し気な感じ。猫好きなのはみただけでわかる。みなさん、身寄りのない猫や生まれた子猫をひきとり、こうして、里親探しの運動を続けている。

いっとき猫たちから離れ、少し時間をおいて、黒猫を飼えるかどうかよく考えてみた。私たちの年齢では、もしものときに引き続いて育ててくれる人が必要だという言葉に、重みを感じた。たしかに、プリンと一緒に保護したマロンは、25歳まで生きたのだから。

毎日、チビまる子のもとに通うのでさえ、精一杯の毎日だ。それに私は今月の末に入院を控えている。やっぱり無理だなあという結論を出し、会場をあとにした。後ろ髪をひかれ、何度も引き返したくなったが・・・。

今日はとても暑かった。家に帰って少し休んでから、気を取り直して、いつものようにチビまる子のところへ行くことにした。

このところ、まる子は、ちょっとよそよそしい。餌を食べ終わると距離をとる。お尻に薬を塗られるのが嫌だからだ。呼んでも、あまりこない。そのうえ、チビは姿をみせない。上をみると、ツーと蜘蛛が。

雲と蜘蛛

チビが出てこないのは、今日は3年に一度の藤枝大祭りの日で、盛んにのろしがあがっているからだろう。諦めて帰ることにした。

いつもの帰り道は、祭りの屋台が練り歩くので、通行止め。途中に車を停めて少し見物をすることにした。

屋台には、三味線を弾く人や歌を歌う人たちが乗っている。屋台の前には、たくさんの法被姿の人々。ときどき止まっては、踊りを披露する。

そんな屋台が町内ごとに何台も続く。

交差点でのやりまわし。屋根の上にも人が乗っているのは、大阪の岸和田のだんじりと似ているが、だんじりは走る。交差点でもすごいスピードをだして回る。ここのはわりあいおっとりしていて、土地柄でずいぶん違う雰囲気だ。

おもしろうてやがてかなしき日、ではなく、かなしうてやがておもしろき日、となりそうだったが、やはり、あの小さな黒猫の眼が忘れられない日となった。どうか、あの猫たちに幸いが訪れますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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