姫、変身前
姫、変身後
いつも端正な顔の姫が、なにやら妙な顔。パンダ顔になっている。おやおやどうしたんだ、おまえ、いつもおんなじ顔に飽きたのかい? と、訊いてみたくなる顔。思わず笑ってしまった。
本人はなんも知らないから、なお、おかしい。でもよくみるとこの顔のほうが愛嬌がある気もしてくる。なんでも、近くの砂のところに顔を突っ込んでぐりぐりやっていたらしい。きっとダニかなにかがついていて、取ろうとしていたのかもしれない。
変身で思いだすのは、カフカの有名な小説、「変身」だ。
ある朝目覚めると、グレゴール・ザムザは一匹の毒虫になっていた。
という書き出しで始まる小説は、とても怖い話だ。一度読んだら忘れられない書き出しで、眠れない夜などには、自分も朝目覚めたら何かに変身してしまっているのではないかと不安になるほどだ。
昨年、家の中の観葉植物に卵を産みつけたカマキリの子供?
眼がさめたらカマキリになっているなんてとんでもないし、アリや蜘蛛もいやだ。せめてきれいな蝶になるサナギならば、などと考える。でも蝶だって、サナギになる前はとても気持悪い姿だからなあ。
実家で蚕を飼っていたときのことだ。初めは小さな芋虫みたいなのものが何度も脱皮をして、しだいに大きくなり、自らが吐き出した白い繭の中にとじこもる様子は、なにか人生を物語っているようだった。
(写真はインターネットから引用)
母が言うことには、蚕にも要領がいいやつと悪いのがいて、要領がいいやつほど繭を作る巣箱の上にいくそうだ。なぜかというと、下になると、上からオシッコをかけられるからだと。
出荷される繭を、一度、一個だけ隠しもっていたことがある。いったいどうなることだろうと思っていると、ある日、繭が破れて白い蛾が飛び出し、どこかへ飛んで行った。
繭のように姿形がまるごと変わったわけではないけれど、まる子も、この4年のあいだに激しく変わった。
これは、避妊手術をしたばかりのころのまる子
このごろのまる子
餌をやり始めたころは、通る人たちがみな美猫だといっていたのが、このごろはきまって、なんだこのデブ猫は、という顔をして通り過ぎていく。
いっときおさまっていたのがまた太りだしたので、原因を探っていると、午前中、公園に将棋をさしにくるグループがいて、その人たちが好き勝手に餌をやっているというのを聞いた。なので、むやみに餌をやらないようにと事情を説明したが、はたしてわかってくれるかどうか・・・。
朝起きたら毒虫になっているのはいやだけれど、変身願望はある。ある日、全く違う人になっていたならと。
ちょっとセクシーなポーズ
三毛子の人馴れ修行はなかなか一筋縄ではいかないが、人慣れして変身するのが楽しみでもある。