ときどきよく庭を横切っていく君。クロシロ模様が好きな私は追っかけてパチリ。でも君はとくに怖がるでもなく、こちらをじっとみつめている。ノラのようだが、いつも堂々としていて、ゆったりと庭を横切っていく。
写真を撮ろうと外に出ると、たいていの猫は姿をかくしてしまうが、君はちゃんとこちらに向かってカメラをみつめてくれるんだ。お利口な猫だ。今度、どこに住んでいるか、教えてね。
君もたぶん知っていいるだろうけど、すぐそこの近所のお庭は、春のまっさかりだ。清楚な庭だね。荒らしちゃだめだぞ。
そして、午後からは山のほうのお寺に寄ってから、公園に行くことにしてと。それとなく歩いていると、君は、ふいに近づいてきて、猫語で話しかけてきた。
土の色にまぎれそうな君の横顔は、キュートだね。人懐こくって、猫語で話しかけてくる君は、信頼であふれてる。すると、ほかの猫もやってきて、やっぱり話しかけてきて・・・。君たちが愛されてるってことが伝わってくるようだ。
お寺から降りてくる道の近くの斜面も花盛り。それにしてもこれだけの面積を彩るのは大変だったろうな。
公園の池のまわりには、ツツジも藤も咲いていて、もうじき藤まつりが始まる。出店用のテントがたくさん設営されて、商品を搬入するトラックもいったりきたりで、なにかと騒がしい。
ようやく桜の狂騒が終わったと思ったら、今度は藤。またまた賑わって、猫たちにはかなり迷惑な季節。だって、君たちは騒がしいのが苦手だもんね。
丘の上では、まる子とチビが、なんか面白いことないかなあって感じであちこち動き回る。そんなにいつも面白いことなんて、ないからさ。
今日は強い風もなく、人にも猫にも優しい季節がようやくやってきたようで。そばでは、鶯も盛んに鳴きくらべをしているし。鶯の声を聴きながら、眼をとじていると、いつのまにかそこは桃源郷になるんだよ。
そばでまる子はこうして、ときどき下界をみおろす顔をしているけど、いったい、君の家は下に広がる町のどこらあたりにあったんだろう。そして、どうして君はここにくることになったんだろうか。君の過去はミステリーだよ。諸説いろいろで。
近眼だという君たちには、あの富士山はたぶんみえていないんだろうなあ。残念だね。