富士川楽座にゴンドラができた。天気は快晴。道はわりと空いていて、休日だし、天気もいいしで、ゴンドラもさぞ混んでいるだろうと並ぶのを覚悟で行ってみると、思いがけず空いていた。ちょっと拍子抜けしながらも、その眺めを堪能。いつも通う公園の丘からは頭の部分しかみえない富士山も、今日は、ちゃんと裾野までみえるのだ。山も海もみえるなんて、ぜいたくな景色だ。
降りてから、B級グルメに選ばれた富士の宮焼そばを食べて、帰りは海べりの道を行くことにした。
途中、南アルプスの山並みもみえるではないか。
「春の海、ひねもすのたりのたりかな」と与謝蕪村がうたったのは、たぶんこんな海ではなかったろうか。途中、車をとめてしばらくのんびりと眺めていると、昔昔に習った、そんな言葉が浮かんでくるような。
のたりのたりの海では、ボートで釣りを楽しむ人たち。中高年と思われる人たちがオールで漕いで釣り三昧。気持よさそうに、あちこち移動していた。
遠くから近くへと視線を移すと、昆布がゆらゆら揺れている。山も海も、のたりのたりな時間だった。
本当は、ひねもすのたりのたりしていたかったが、いつものようにせわしなく家に戻り、ちょっと休憩してから公園に行くと、こちらはすごい混雑。いったいなにがあったんだ、どうしたんだ? という感じ。
駐車場に車をとめるのも大変だった。公園の自然を楽しむ人たちではないことは、みんな、スマホばかりみながら歩いていることでわかる。
聞くところによると、なんでも今日はポケモンの記念日だとか。ふだんでも、土曜日や日曜日はスマホやタブレット片手にうつむいて歩く人をみかけるが、今日の公園はまるでラッシュアワーのようだった。
桜の盛りが過ぎて、今度は藤の花がかぐわしく咲き始めたというのに、誰もかれもがスマホのゲーム三昧。いったいこの風潮はなんだろう・・・。もったいない気がするのは、私がゲームを知らないからかしら。
人込みをかきわけながら歩いて行くと、坂道の入り口あたりで、桜の木が根元から折れ、倒れていた。花を咲かせるために力を使い果たし、満開になったところで、ついに力尽きてしまったのかもしれない。よう頑張ったねえと、思わずつぶやいていた。
倒れてもなお咲く桜。でも、ポケモンに夢中の人たちは気づいていないようだった。そんなにも夢中になってしまうものなら、かえって私は怖ろしくてできない。