今の季節、公園は藤のオンパレード
歩いていると、独特の甘い香りが漂ってくる。垂れている花の房に顔を近づけて、そのかぐわしさを味わってみると、なんともいえない妖しい香りに包まれる。出店が出ていることもあって、連日にぎわっている。
人だけでなく、ワンコもぞろぞろ。ちょっと変わった品種のワンコたちが、小さなワンコをガン見。みていると、人間以上に相性があるようだ。
池のまわりの人込みは、坂道に入るとだいぶ減り、静かになる。みると、姫が藤棚の下にちんまりと箱座りしていた。気が向くと、この高い藤棚の上に登って渡り歩いていることもある。みかけによらない凄腕女子猫。
猫の形は、なぜかほっとする形。通りすがりにどこかの家の窓から耳だけ出ているのを見かけると、それだけで胸がキュンとする。
丘の上へと続く道は、ツツジとシャクナゲにはさまれたフラワーロードだ。
チビとまる子を知るまでは、あまり歩くことのない暮しをしていた。今ごろになって歩く楽しさを知って、足もとの虫や草むらの中に咲く小さな花の存在にも気づくようになった。これまで、なんともったいないことをしていたことか。
人間嫌いのチビは、いつもこんな顔をして、通る人を観察している。観察は、ほんのわずかな枝の動きや草のそよぎも見逃さない。
今にも木に登りそうな態勢。
上をみると鳥がいた。奮闘中のチビをよそに、そばでまる子は、いねむりをきめこんでいる。あたしゃもう、おなかがいっぱいだから、べつに鳥なんて関係ないし、という感じで。
春眠、暁(?)を覚えずか。じつは私も、高校卒業アルバムに授業中の居眠りを撮られてそう書かれてしまった。なぜだか授業が始まると猛烈に眠くなって、つい、うつらうつら。なのに、昼休みのベルが鳴ると、猛然とダッシュしてパンを買いに走っていた。好きなパンを誰かに先に買われてしまわないように。パンに対するあれほどの情熱を授業中に発揮していたなら、今頃は・・・。
まる子のうたたねが伝染して、私まで眠くなってきて眼をしばたたき、遠くに視線を移すと、富士。ではなくて、春霞。今日は残念ながら霞んでいた。
これは数日前の富士。湿度が高くなる季節に入ると、富士は見えなくなる。通る人たちが遠くに視線をやりながら、今日は富士山がみえるねえと声をかけてくるときは、どことなくうれしそうだ。富士にはゆるぎない魅力がある。