今日はすっきりとした晴れ。隣り町の公園のチューリップが見事、というのを聞いて行ってみると、広々としていて、とても気持ちがいい。あまり樹木がなく、海もすぐそばにあるせいか、空がのびやかに広がっている。
チューリップの原産地はトルコで、オスマントルコの時代には高貴な花として扱われ、タイルや壁画などにもたくさん描かれているという。花の膨らみが豊かさを表し、発音が神様を表す言葉と似ていることから珍重されたのだそうだ。
園内にはチューリップのほかにも、色とりどりの花があった。そして白い桜も。
敷地がとても広いので、まったくちがった風景にも出会う。
ここはまるで、どこかの山の中の湖のようだ。選ぶ道によってみえるものが違うので飽きない。
ロックガーデンの橋の下には、金色の鯉が悠然と泳いでいる。新しい元号が発表される日にふさわしく、めでたい感じ。光を受けて輝く鱗が美しい。顔も人面魚のよう。
公園のなかほどの広場のガーデンコンテストには、いろんな人の作品が出品されている。
入賞作品もあって、庭造りの参考になる。お弁当を持っていき、広場でおひろめ。家族連れなどがあちこちでおんなじように楽しんでいる。平日だというのに、わりあいにぎわっていた。
のんびりとしたところで弁当を広げているような、そんなありふれたことを、若くてとんがっていたときにはつまらないことだと思っていた。平凡は退屈だった。そして時がすぎた今は、こんな景色の中でおにぎりをほおばって、ありがたいような気分にさえなっている。
この犬の、ちょっとくたびれた感じがほほえましい。みんな、海からの春風を受けて心地よさそうだ。
こちらのワンコは、駐車場の近くで最初に出会ったときとは違う洋服を着ていた。途中で着替えさせたそうで、洋服やらリボンやら、飼い主さんはいろいろ持ち歩いていた。そしてカメラの前でポーズをとるワンコは、まさにモデル。振り返りのポーズ、と飼い主さんが言うとちゃんとそうして決め顔までする。
ワンコが身につけているものはすべて手作りだという。リードまでおしゃれ。お見事、というほかない。
実家で飼っていた秋田犬は冬でも外にいて、ドッグフードなどない時代、食事も人間の残り物ばかりだった。塩分もきつかったろうし、栄養もたりなかったろう。時代はどんどん変化する。
中島みゆきの「時代」という歌がとても好きだった。巡る巡るよ、時代は巡る、と彼女は歌った。でも私にとっての時代は、足早に去っていく冷たい恋人のように感じられる。せめて、花や猫や犬と楽しもう。