壊れる。

夏空に伸びる夾竹桃。

昨年あたりから、調子を崩していたが、今年に入ってからは、いよいよ、「だめだ、もう、無理」という感じになってきた家電品たち。まず、掃除機ががだめになり、このあいだはテレビが突然ブチッと切れて映らなくなり、冷蔵庫は変な音を出し始め、洗濯機は脱水が弱くなった。罰当たりなことなんかしていないのになあ・・・。

やけにタイミングよく、チラシに40インチテレビ「先着3名様」とあったので、これはチャンスとばかり、急いで買いに行った。ちょうど甲子園の季節だし、私の故郷、八戸市の八戸学院光星高校も勝っているし。

だけど、待てよ、もしかすると騙されたかもと気づいたのがその少しあと。つぎの広告では、さらにまた値が下がっているじゃないの。でも前のテレビよりも画面がとてもくっきり。まあよしとしようか。そう思って庭の草取りを始めると、妙な色のバッタが飛んでいた。調べてみると、ショウリョウバッタモドキと書いてあった。

どういうわけか、電気製品というものは、一つ壊れると、同調するようにつぎつぎとだめになる気がする。一つが、もう勘弁しておくれとストを起こすと、あたしも俺もというように。昨年の掃除機から始まって、テレビ。さらには、冷蔵庫と洗濯機。ついでに、電子レンジもかなり古くなっていたので、買い替えた。

どれも平均寿命をとっくに過ぎていて、どうにか頑張ってくれていたものばかりだったから無理もない。長年のお礼を申し上げてから去っていただいた。そしてあとに控えしは、トースターと電気釜とパン焼き機。どれも怪しげな状況だ。なんとか、もう少しと、となだめながら使っているけれど。 

新しい冷蔵庫は洒落っ気がなく、ゴツイ。だが、よく冷える。節約仕様のシンプルな冷蔵庫は、洗濯機も一緒に買うからと、さらに値切って手に入れた。使ってみると、どちらもお値段以上というほどではないが、まあまあというところでおちついた。

おちついたのもつかのま、今度は、私の携帯電話の着信音が鳴らなくなり、うちのおじさんのも壊れてしまった。それで、迷ったあげく、いまどき、ガラケーを買い替えるなんてと驚かれたが、夫婦してガラケーにした。

今はどこへ行ってもスマホがないと不便な世の中になっているけれど、ガラケーで十分。ということにしておく。さらには、この6月にはおじさんの心臓の手術があったし、9月には、私もちょっとした手術を受けることになってしまった。なんということでしょう。人間は新しいのに買い替えるわけにいかず、リフォームで我慢。

本当に今年はいったいどうなってんだあ、と叫びたくなるが、興奮するとよけいに暑くなるから、抑えて抑えて。自分をなだめながら公園に行くと、姫が暑さで伸びきっていた。「お前も暑いよのう」と声をかけ、坂道をあえぎながら登っていくと、今度は変わった毛色のカラスが。

それで、「なんだお前、変わってるから仲間外れにされてるんかい」とカラスにも声をかけてやった。カラスの身の上にまで同情するなんて、わいも年を取ったもんよのうと、ひとりごと。そして、さらに登って行くと、先日から気になっている花が、こっちを向いて愛嬌たっぷりの顔。

だけどこの清楚な花、完全に咲くと、いきなり剽軽なおばちゃん風に変わってしまうのだ。おばちゃんも、なかなかイケイケだけどね。

なんだかんだといろいろあって、でも、坂道をのぼりきれば、心地よい風がある。二匹の猫たちも寄ってくる。俗世間のことは、しばし忘れよう。

今日は、めずらしく、重なりあうように寄り添っていた猫たち。夕方の風に気持よさげな風情。花火の後遺症も消えて、ようやくいつもの猫たちに戻ったみたい。 

 

 

 

 

 

 

 

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