マスダカルシさんと北岸由美さんという人の展示会が、市内のアート影山というところで開かれている。この絵は、マスダさんの、最近出版された絵本の表紙。
マスダカルシさんという方は、静岡新聞にもエッセーを寄せていて、以前から興味があったからお会いできるかなあと思いつつ行ってみると、ご本人がいらしてお話もできた。作品に登場するものたちのように自由でナチュラルな雰囲気を漂わせ、しかも親しみやすいお人柄。ふっと、まわりを和ませるような・・・。
これ、すべて、ほんの小さな細かいところまで新聞を切り抜いて貼って作ったものだという。「えっ、草の一本までですか?」と尋ね、びっくりしていると、カルシさんは、そばに置いてあった新聞をさりげなく取って、またたくまに猫の形にきりぬいてくれた。たぶん、ほんの数分しかかかっていない。
彼女の絵は、こんなふうにしてできあがる。
まあ、なんということでしょう・・・。新聞のイメージがくつがえった。黒と白というイメージだったが、たしかに新聞にはさまざまな色があるのだ。
カルシさん、新聞の切り抜きは、子供のころから好きだったそうで、木の枝葉、ほんの小さな草にいたるまで切り取る技術や発想は、すでに子供のときから育まれてきたものなんだろうな。新聞のちょっとくすんだ感じが、ナチュラルな感じをかもしだしている。
ちなみに、初めてみた彼女の作品は、昆虫館の入り口に飾られていた。
アート影山のギャラリーのホールに、マスダさんのと一緒に飾られていた、イラストレーターの北岸さんのほうは、はっきりとした色使い。こちらは絵具を使っているようだ。
画風のちがう作品が同じところに並べられていても、あまり違和感を感じないのは、たぶん、めざしている世界が共通なのかもしれない。なにしろ、展示会のテーマが「せかい」だから。
二人の作品には、猫がよく出てくる。動物写真家の岩合さんは、野良猫と言わずに自由猫ともいっている。古墳の丘の自由猫たちは、きょうも二匹でお出迎え。
だいぶ涼しくなって、丘の上も秋に向かっている。きょうの空には、ちぎれ雲をパクリパクリと食べていく猛獣がいた。