三毛子はなんにでも触りたがり、取ろうとする。三毛子には、無理という言葉は必要ないようだ。ときには屋根に上り、塀を越え、ずりおちそうになりながらも目的を達成する。
昨日はクリスマスイブ。公園の博物館の玄関わきのショーウィンドーでは、サンタが遊んでいた。サッカーの町、藤枝らしいしつらいだ。
そして日が暮れると、丘の上からみえる高草山の中腹に、例年、一夜限りのツリーが出現する。
今年は、とくに文字はなかったが、しゃきっとまっすぐで点滅も加わり、例年よりも明るく感じた。焼津市の平七田中会の人たちによるもので、クレーンと竹を使って吊り上げるのだそうだ。
古墳の丘の上からみると、そんなに高くはみえないが、高さは、なんと30メートル以上もあるんだそうで、ちなみに、昨年とその前の年のはこんなふうだった。
山の上からみるとこんなふうだ。クレーンと、ツリーを吊り下げた竹が繋がっている。
暗いニュースばかりの毎日に、思わぬプレゼントだ。なんだかんだと人は災難に遭いながらも、いつも頑張って乗り越えてきたではないかと、そんなふうなメッセージが込められているようにも感じた。
町の中からみると、夜空にぽっかりと浮かんでみえる。
藤枝駅前のイルミネーションは、今年は少なくて寂しげだ。近所の子供はまだまだサンタクロースのことを信じている年齢。鬼滅の刃のグッズが欲しいと言っていた。はたしてもらえたのかな?
正月やクリスマスという行事を、若いときの私はあまり気にすることはなかった。世の中は自分と関係ない所で動いているのだからと、忙し気に動くまわりの人たちを冷ややかに眺めていた。
友達からは皮肉混じりに、あんたはこのくそ忙しい時にも、コーヒーを飲みながら一人で本なんか読んでいるよね、といわれていたほど。
けれど、いつからか、一応、区切りのようなものを感じるようになって、家の中をきれいにしたり、人並みにしめ飾りを飾ったりするようになった。
猫と一緒に過ごすクリスマスは、何年ぶりだろうか。三毛子がきてから家の中はてんわやんわで仕事がふえたが、笑いもふえた。三毛子が破った障子紙も、夫と二人で張り替えて、どうにか正月を迎えられそうだ。