フィナーレ

古墳の丘の一日のフィナーレは、夕日。その日その日で、空はさまざま。気持もさまざま。

火の玉を、空が、抱えきれずに落としたような夕日。火の玉のまわりには幾重にも日輪が重なり、一日の終わりが近いことを知らしめているみたいだ。みなさん、ぼうっとしていちゃいけませんよ、あっというまに日は落ちるんですから、と諭しているような・・・。

いっときほどではないが、まだまだ暑い。犬の散歩をする人たちもなかなか大変そう。今日は、ブーツのようなソックスを履いた犬に出会った。

飼い主さんの足許も軽やかで、犬のほうのソックスもちゃんと体毛の色にあわせたようにきまっている。ちょっといいコンビ。なので、後ろをしばらくついて歩いた。

途中で坂道へと続く道に入ると、ふだんはほとんど流れることがない滝のあたりは工事に入った。重機が何台も入って、コンクリートが剥がされたり砕かれたりしている。

さらには、かなり広い範囲でぐるりとフェンスとネットが張られて、厳重に人が入れないようになった。ここらあたりを居場所にしている猫たちにとって、これは一大事! 餌をやる人にとっても。

長いことかかっていた、博物館の横の工事がようやく終わりかけていると思ったら、今度はこちら。どうしてつぎからつぎへと工事ばかりするのだろう。とくに傷んでいる様子もなかったのに。

すれちがう人たちも、今度は何の工事かな、と言いながら歩いて行く。公園って、本来は静かでくつろげるところではないのかしら。いつも工事ばかりしている公園ってどうなのかな? 

工事をするのなら、まずは、古くて暗いトイレの整備をしてくれたら、来園者からとても感謝されると思うんだけど。とくに古墳の丘へ続く坂道にあるトイレは入るのに度胸がいる。照明もなく、昼間でも暗いから、穴に落ちそうだ。小学生くらいの女の子が怖いと言って泣き叫んでいたことがあった。ドアをあけたまま入るわけにもいかないし。

汗をかきかき古墳の丘にのぼり、しばらくまる子と遊んでやった。

草の猫じゃらしで遊んでやると、けっこう相手をしてくれた。なんだか気分が沈んだ時は猫に遊んでもらうにかぎる。無心になれるからだ。

かたわらの白い小さな雑草の花をみつめていて、ふっと顔をあげたら、丘の上のフィナーレにふさわしい夕陽が出ていた。通る人たちが、スマホで写真を撮ったり、きれいきれいとはしゃぎ声をあげたりしながら。

帰り道、ナナに餌をやっている人がナナを呼んでいたが、案の定出てこない。姫やモミジ、ガリ君はボランティアの人が呼ぶと工事用の柵をくぐって出てくるらしいのだが、ナナは出てこない。

今にも死にそうにガリガリに痩せていたガリ君は意外に要領がよく、たくましそうなナナのほうが出てこないなんて、ちょっと心配だ。

まだなにも知らず、のんびり顔をしていたナナ。

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