公園の駐車場についたら、雨が落ち始めた。通り雨だろうと思い、そのまま歩き出した。すると坂道を上り始めたあたりから雨は激しくなってきて、空は真っ黒になった。
まる子のことが気になっていたので、そのまま登って行くと、雷が激しくなり、バラバラと傘にあたる激しい音。見ると、ひょうだった。その粒がだんだん大きくなってきて、傘が破れてしまうのではないかと思い、しばらく立ち止まった。
少し弱まってきたのをみて、急いで上の東屋まで近道を行くと、中年の女性が一人、雨宿りをしていて、近くでまる子の鳴き声が聞こえてきた。その人の話によると、草むらにいたらしい。名前を呼ぶと背中にひょうを乗せ、びしょ濡れのまる子が走り寄ってきた。急いで拭いてやり、餌をやった。風が激しくてこちらもずぶぬれで、寒くてしかたがなかった。
雨雲が去り始めたのをみて、今度はチビを探しに行くが、雷の音がまだしていて、なかなか出てこない。諦めて帰ろうとしたときにようやく出てきたものの、おどおどしていてあまり食べない。雷がよほど怖ろしかったのだろう。雨もあがり、落ち着いてきたのをみて帰ることにした。すでに6時を過ぎていた。
道のひょうは消えていたが、草むらには少し残っていた。雨風に濡れて、寒さに震えながらの帰り道だった。なのに、心はひさしぶりに軽くなっていた。まる子に傘をさしだして、その体がときおり私の足にすりよるときの体温を思い返していた。その温かさは、このところ、冷えて波立っていた心にもじんわりと効いてきた。