ケンという名前の犬にひさしぶりに会った。あいかわらずの剽軽な様子だ。そして、このモテぶり。いろんなワンコが寄ってくる。それはそうだよね、イケメンだし、若いし。(2歳)
すぐに座り込んでしまうのも、あいかわらず。普通の散歩なら、池のまわりを一周するのに30分もかからないくらいなのに、ケンを連れていると、しょっちゅうこうして座り込むので、1時間以上もかかるのだという。あちこちで笑いをとっているらしい。紐が切れそうになったままなのも、あいかわらず。
前のときの写真(おれにも、言いたいことはある。2019.3.28)
眼がきれいで、どことなく深遠で、ひきこまれる風貌だ。ケン自身は、なんも考えてないかもしれないけれど。
ケン、写真を撮ってから歩き始めてしばらくして振り返ると、こうして座ったまま、こちらをみつめていた。なるほど、ケンがモテるわけが一つわかった。こんなふうに見送られたら、女はメロメロになってしまうもの。なんか、一瞬でまわりをあったかくしてくれるワンコだ。
散歩に一時間もかかると嘆くわりには、ケンをみる飼い主さんの眼はやさしい。ケンにしてみれば、「オレは、歩くのも遅いし、喧嘩も弱いけど、世の中を明るくしてるんだ!」ってわけだ。
蓮の花が咲きだした。花もきれいだが、蓮の葉の上の、玉のようなしずくが美しい。蓮は、泥に咲く花だといわれる。蓮華寺池は、たしかにいつも濁っている。でも花は、こんなふうに神々しい。
古墳の丘では、このごろ、しきりにツバメが飛んでいる。ツバメが低空飛行すると、雨になるという。去年はチビがしきりにジャンプしてツバメを捕えようとしていたが、今年は諦めたのか、あまり気にしていない。そばではスズメがエッチラオッチラ歩いている。
おいおいスズメ、ツバメは無理でも、おまえなら簡単に捕まえられるチビの前で、危ないぞ。猫を舐めたら、えらいことになるよ。
こんなふうにして、石の上で二匹並んで餌を食べるのはめずらしい。チビはいつも石の陰に隠れたり、離れたところで食べたりしているのに。今日はきっとリラックスした気分なんだろう。このごろは、たまに、チビのほうからすりよってくるようになった。