おれの避暑地

木の上は涼しいニャ!
うん、わかってる。だから、おれもな、今、のぼってるとこだ。
だけどおれ、おまえのこと、食っちゃうかも。
だめだよ、おれだって、もうちょっと涼しいとこにいくとこなんだからさ、勘弁してよ。

おい、あっちの方に、なんかいるニャ。
あっ、おれのきらいなおじさんがきちゃったよ。もう少し上のほうに行くニャ。

とかなんとか言っているのやらいないのやら。このごろのチビは、木登りしては下をみおろしている。木の上はきっと適当に日陰もあって、風もあって、邪魔をするものもなく、きっと気持ちがいいんだろうな。

古墳の丘には大木が何本もあって、汗ばんだ体を石の上で休めていると、風に揺れる木々のざわめきや鳥の声にまぎれて、いつのまにか自分も空気みたいになって、あたりに溶け込んでいくような気持になる。

チビまる子としばらく一緒の時間を過したあと、「また、あしたね」と、そう言ってリュックを背負う私を、まる子はじっとみている。追いかけてくるときもあれば、そのままのときもある。そんなときには、チビの無邪気な行動が救いになる。

下の池のまわりには街灯があるが、ここにはない。漆黒の夜をチビまる子はどんなふうに過ごしているんだろう。坂道を下るとき、ひぐらしの鳴く声が追ってきた。